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高校2~高校3年生 (16-18歳)

生物 DNA複製と遺伝子発現 わかりやすく

DNA Replication & Gene Expression

DNA は二本の鎖がほどけたあと、それぞれの鎖を鋳型として新しい鎖をつくり、複製された DNA にはどれも元の鎖一本と新しい鎖一本が入る半保存的複製で複製されます。 DNA ポリメラーゼは新しい鎖を 5' → 3' の向きにしかのばせないので、一方の鎖(リーディング鎖)は分岐点を追って途切れずに合成され、もう一方(ラギング鎖)は短い岡崎フラグメントに分けて合成されたあとでつながれます。 メセルソンとスタールは、重い窒素(¹⁵N)と軽い窒素(¹⁴N)で標識した DNA を遠心分離して半保存的複製を証明し、複製された遺伝情報は転写と翻訳を経てタンパク質として現れます。 図では、複製が進むにつれて分岐点が上がり、リーディング鎖と岡崎フラグメントがのびていくようすと、世代ごとに遠心管の帯が移っていくようすを見ることができます。

正確な複製が大切なわけ

💡 30 億文字の本を一字もまちがえずに写す
①ヒトの DNA は約 30 億塩基対あり、細胞が分裂するたびにそのすべてを複製しなければならない
②DNA ポリメラーゼはまちがってつないだ塩基を自分で直すこともあり、誤りは約 10 億塩基に 1 個ほどととても少ない
③二本の鎖がほどけると、それぞれが鋳型となり、A は T と、G は C と相補的に対をつくって新しい鎖ができる
④だから複製された二つの DNA 分子は、それぞれ元の鎖一本と新しい鎖一本からなる(半保存的複製)

複製の分岐点:リーディング鎖とラギング鎖

5
複製にはたらく酵素
ヘリカーゼ(二本鎖をほどく)→ プライマーゼ(RNA プライマー)→ DNA ポリメラーゼ(新しい鎖の合成)→ DNA リガーゼ(断片をつなぐ)
DNA ポリメラーゼは自分では新しい鎖をつくりはじめられず、プライマーの末端にヌクレオチドをつないでいく
🔍 リーディング鎖とラギング鎖
①DNA ポリメラーゼは新しい鎖を 5' → 3' の向きにしかのばせない
②リーディング鎖では新しい鎖ののびる向きが分岐点の進む向きと同じなので、分岐点のすぐ後ろを追って途切れずに合成される
③ラギング鎖ではのびる向きが分岐点と逆なので、鋳型が現れるたびに短い岡崎フラグメントを一つずつ別々に合成する
④それぞれの断片は RNA プライマーから始まり、あとでプライマーが DNA におきかえられてから、DNA リガーゼが断片をつないで一本の鎖にする

メセルソン・スタールの実験:半保存的複製の証明

F₁
💡 実験の結果を読む
①大腸菌を ¹⁵N の培地で何世代も育てると DNA の二本の鎖がどちらも ¹⁵N になり、遠心分離すると重い帯が一本だけ出る(P)
②この大腸菌を ¹⁴N の培地に移して一回複製させると、すべての DNA が ¹⁵N の鎖一本と ¹⁴N の鎖一本になり、中間の帯が一本だけ出る(F₁)
③もう一回複製させると、中間の帯(¹⁵N-¹⁴N)と軽い帯(¹⁴N-¹⁴N)が 1 : 1 で出る(F₂)
④保存的複製なら F₁ に重い帯と軽い帯が出るはずで、分散的複製なら F₂ でも帯は一本のはずなので、この結果は半保存的複製でしか説明できない

遺伝子の発現:セントラルドグマ

セントラルドグマ
DNA →(転写)→ mRNA →(翻訳)→ タンパク質
遺伝情報は DNA から RNA を経てタンパク質へと流れる
📐 転写と翻訳
①転写:RNA ポリメラーゼが DNA の鋳型鎖を読んで mRNA をつくり、真核細胞では核の中で起こる
②翻訳:リボソームが mRNA を読んでアミノ酸をつなぎ、タンパク質をつくり、細胞質で起こる
③mRNA の連続した三つの塩基(コドン)一つが、アミノ酸一つを指定する
④開始コドンは AUG(メチオニン)で、終止コドン UAA・UAG・UGA はアミノ酸を指定しない

例題と過去問で確認

例題 1
ある二本鎖 DNA で、アデニン(A)が全塩基の 30% を占める。この DNA でグアニン(G)が占める割合はいくらか。
1
二本鎖 DNA では A は T と、G は C と対をつくるので、A = T、G = C である。
2
A が 30% なら T も 30% で二つで 60% を占め、残りの 40% を G と C が半分ずつ分けるので G = 20% である。
▸ 20%
相補的な塩基対のために A = T、G = C が成り立つ(シャルガフの規則)。四つの塩基の合計が 100% であることと合わせれば、一つの塩基の割合だけで残りをすべて求められる。
例題 2
¹⁵N だけで育てた大腸菌を ¹⁴N の培地に移し、DNA を一回だけ複製させた(F₁)。この DNA を遠心分離すると、帯はどのように現れるか。
1
半保存的複製では、複製された DNA はそれぞれ ¹⁵N の鎖一本と新しくつくった ¹⁴N の鎖一本からなる。
2
したがってすべての DNA が ¹⁵N-¹⁴N(中間の密度)になり、中間の帯が一本だけ現れる。
▸ 中間(¹⁵N-¹⁴N)の帯が一本
F₁ で中間の帯が一本だけ出ることが、保存的複製を否定する決め手になる。図で世代を F₂ に進めると、中間の帯と軽い帯の二本に分かれる。
模試タイプ
DNA の複製と遺伝子の発現についての説明として正しいものはどれか。
①DNA の複製は保存的に起こる。
②ラギング鎖は岡崎フラグメントをつくりながら不連続に合成される。
③転写はリボソームで起こる。
④翻訳の終止コドンはメチオニンを指定する。
⑤メセルソン・スタールの実験は保存的複製を証明した。
▸ ② ラギング鎖は岡崎フラグメントをつくりながら不連続に合成される。
1
ラギング鎖はのびる向きが分岐点と逆なので、短い岡崎フラグメントとして合成されたあと、DNA リガーゼでつながれる。
2
複製は半保存的で(①・⑤)、転写は RNA ポリメラーゼが行い、翻訳がリボソームで起こり(③)、終止コドンはアミノ酸を指定しない(④)。

総まとめ

DNA の複製
半保存的複製:複製された DNA はどれも元の鎖一本 + 新しい鎖一本
ヘリカーゼ → プライマーゼ → DNA ポリメラーゼ(5' → 3')→ DNA リガーゼ
🎯 試験ポイント
①DNA は半保存的に複製され、メセルソン・スタールの実験で証明された
②DNA ポリメラーゼは 5' → 3' の向きにだけ新しい鎖を合成し、はじめるにはプライマーが必要である
③リーディング鎖は連続的に、ラギング鎖は岡崎フラグメントとして不連続に合成される
④転写では鋳型鎖を 3' → 5' の向きに読み、mRNA を 5' → 3' の向きにつくる
⑤翻訳ではコドンとアンチコドンが対をつくってアミノ酸がつながり、AUG で始まって UAA・UAG・UGA で終わる

最終更新

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