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高校2~高校3年生 (16-18歳)

生物 細胞呼吸 わかりやすく

Cellular Respiration

細胞呼吸は、グルコースをいくつもの段階に分けて少しずつ分解し、そこで出るエネルギーを ATP にたくわえる過程です。 細胞質の解糖系でグルコースがピルビン酸二分子に分かれ、酸素があるとピルビン酸はミトコンドリアに入り、クエン酸回路と電子伝達系を経て、グルコース 1 分子あたり最大約 32 ATP がつくられます。 酸素がないと電子伝達系が止まり、解糖系だけが動く発酵が起こって ATP は 2 分子しか得られず、ヒトの筋肉細胞では乳酸ができます。 図では酸素の供給を 100% から 0% まで減らしながら、クエン酸回路と電子伝達系から出る ATP がいっしょに減り、ピルビン酸が乳酸のほうへ回るようすを見ることができます。

グルコースをゆっくり燃やしてエネルギーを得る

🔥 細胞呼吸はゆっくりした燃焼
①木が燃えると、そのエネルギーは一度に熱と光になって散らばる
②細胞はグルコースを何段階にも分けて少しずつ酸化し、出てくるエネルギーの一部を ATP にたくわえる
③最終産物は燃焼と同じ二酸化炭素と水だが、酵素が一段階ずつ進めるので細胞はいたまない

細胞呼吸の三つの段階

100%
💡 酸素を減らすと
①酸素が十分なら、解糖系 2 + クエン酸回路 2 + 酸化的リン酸化 約 28 で、グルコース 1 分子あたり最大約 32 ATP になる
②酸素が減ると電子伝達系の最後の電子受容体が足りなくなり、電子伝達系とクエン酸回路がいっしょに遅くなる
③あまったピルビン酸は乳酸に変わり(乳酸発酵)、このとき NAD⁺ がつくり直されて解糖系が動き続ける
④酸素がまったくないと解糖系の 2 ATP だけが残り、同じエネルギーを得るにはグルコースを 16 倍近く使わなければならない

中心となる反応

細胞呼吸全体の反応式
C₆H₁₂O₆ + 6O₂ + 6H₂O → 6CO₂ + 12H₂O + エネルギー(最大約 32 ATP)
NADH 1 分子あたり約 2.5 ATP、FADH₂ 1 分子あたり約 1.5 ATP として数えた値(古い教材では 3 と 2 で数えて 38 とすることもある)

呼吸段階比較

細胞呼吸の三つの段階の比較
段階場所基質産物ATP
解糖系細胞質ブドウ糖ピルビン酸 2 分子、NADH 22
クエン酸回路ミトコンドリアのマトリックスピルビン酸 → アセチル CoACO₂、NADH、FADH₂2
電子伝達系(酸化的リン酸化)ミトコンドリア内膜NADH、FADH₂、O₂H₂O約 28

発酵:酸素なしで ATP を得る

発酵比較

アルコール発酵と乳酸発酵
項目アルコール発酵乳酸発酵
生物酵母乳酸菌、ヒトの筋肉細胞
最終産物エタノール + CO₂乳酸
ATPグルコース 1 分子あたり 2 分子グルコース 1 分子あたり 2 分子
利用パン、酒ヨーグルト、キムチ(乳酸菌)

例題と過去問で確認

例題 1
酸素が十分な条件でグルコース 1 分子が完全に分解されるとき、つくられる ATP は最大約何分子か。(NADH 1 分子あたり 2.5 ATP、FADH₂ 1 分子あたり 1.5 ATP として計算する)
1
解糖系で 2 ATP、クエン酸回路で 2 ATP が基質レベルのリン酸化でつくられる。
2
グルコース 1 分子から NADH 10 分子と FADH₂ 2 分子ができるので、酸化的リン酸化で 10 × 2.5 + 2 × 1.5 = 28 ATP がつくられる。
3
2 + 2 + 28 = 32
▸ 最大約 32 ATP
ATP の大部分(28 分子)は電子伝達系を通る酸化的リン酸化から出る。だから図で酸素を 0% にすると電子伝達系の箱が消え、解糖系の 2 ATP だけが残る。
例題 2
はげしい運動で酸素が不足したヒトの筋肉細胞で起こる発酵の名前、最終産物、グルコース 1 分子あたり得られる ATP の数を答えよ。
1
ヒトの筋肉細胞は、酸素が足りないと乳酸発酵を行う。
2
グルコースは解糖系を経てピルビン酸になり、ピルビン酸は NADH から電子を受けとって乳酸に変わる。
▸ 乳酸発酵、最終産物は乳酸、ATP は 2 分子
発酵では解糖系だけが ATP をつくるので、グルコース 1 分子あたり 2 ATP しかない。ピルビン酸を乳酸に変える段階は ATP をつくらないが、NAD⁺ をもとにもどして解糖系が止まらないようにする。
韓国修能 類題
ヒトの細胞呼吸についての説明として正しいものはどれか。
①解糖系はミトコンドリアのマトリックスで起こる。
②クエン酸回路で CO₂ が放出される。
③電子伝達系は酸素がなくても進む。
④解糖系でもっとも多くの ATP がつくられる。
⑤乳酸発酵はミトコンドリアで起こる。
▸ ② クエン酸回路で CO₂ が放出される。
1
クエン酸回路(ミトコンドリアのマトリックス)では炭素が酸化されて CO₂ として放出され、NADH と FADH₂ がつくられる。
2
解糖系は細胞質で起こり(①)、電子伝達系は O₂ がないと進まず(③)、ATP は電子伝達系を通る酸化的リン酸化からもっとも多く出て(④)、発酵は細胞質で起こる(⑤)。

総まとめ

好気呼吸
最大約 32 ATP
酸素があるとき(グルコース 1 分子あたり)
発酵
2 ATP
酸素がないとき(グルコース 1 分子あたり)
🎯 試験ポイント
①解糖系:細胞質、グルコース → ピルビン酸 2 分子、ATP 2 分子(酸素は不要)
②クエン酸回路:ミトコンドリアのマトリックス、CO₂ を放出、NADH・FADH₂ を生成
③電子伝達系:ミトコンドリア内膜、O₂ が必要、酸化的リン酸化でいちばん多くの ATP を生成
④酸素が足りないと発酵(アルコール発酵、乳酸発酵)が起こり、解糖系の 2 ATP だけを得る
⑤電子伝達系の最後の電子受容体は O₂ で、O₂ は水(H₂O)になる

最終更新

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