自由物体図 書き方
つりあいの式三つは強力ですが、式を立てるにはまず物体にどんな力が作用しているかを漏れなく知る必要があります。それを描くのが自由体図、略して FBD です。やり方はこうです。解析する物体を一つ周りからきれいに切り離して空中に浮かべ、その物体に触れていたものをすべて、それが押す力の矢印に描き替えます。壁も床も綱もピンもみな力になり、そこに重さのように離れて作用する力も足します。この一枚の図がすべての静力学の解法の出発点で、図が違えば式もまるごと違います。まず物体を周りから切り離すところから始めます。
最初の段階は隔離です。解析する物体をはっきり決め、残りの世界から切り出すもので、ボタンを押すと左には壁に付き床に置かれた実際の状況が、右にはその物体だけを切り離して空中に浮かべた姿が出ます。こうして切り離すと物体に何が作用するかがはっきりし、触れていた場所ごとに今度は力を描き込む場所が生まれます。何を物体にするかは自分が決め、はり一本でもピン一つでも、いくつかの部材を束ねた塊でもよいです。何を隔離しても、いったん切り離せばその境界を行き来する力だけを気にすれば足ります。
物体を切り離したので、触れていたものを力に替えます。核心の原理は一つで、ある支承が物体の動きを止めているなら、その支承は止める方向に力を与えていて、それが反力です。ブロックが床に置かれていれば、床はブロックが下へ沈むのを止めるので上へ支える力を与えます。ボタンで床を消してその力に替えると、床が消えてもその場所に上向きの矢印を一つ描くだけで、物体への効果がまったく同じだと分かります。支承を消してその反力を代わりに描くこと、これが自由体図の心臓です。
支承ごとに止める方向が違うので与える反力も違い、基本形は三つです。ローラーは面に垂直な滑りだけを止めるので反力は一つ、垂直方向の力だけです。ピンは位置を動かせないよう両方向で押さえるので横の力と縦の力の二つで、固定端は位置も回転も止めるので横の力と縦の力に、回転を止めるモーメントまで合わせて三つになります。未知数がいくつ出るかはここで決まり、ローラーは 1、ピンは 2、固定端は 3 です。支承を見たらすぐ描く矢印が浮かぶようにします。
ここで一枚の完成した自由体図を見ます。左はピン、右はローラーで支えたはりに荷物が載り、切り離したはりの上にすべての力が描かれています。加えられた荷重 P は下へ、はり自身の重さ W は重心から下へ、ピンでは横と縦の反力が、ローラーでは垂直の反力がかかります。荷重をドラッグして移すと、外力は知っている値で反力はまだ分からない未知数だと分かり、知っている力と知らない力が一枚の図に集まります。落とした力がないか、向きは合っているかをこの図で全部確かめるので、よい FBD 一枚なら問題の半分は解けたものです。
最後に図がどう解法へ続くかを見ます。完成した図に書いた力を、そのままつりあいの式三つに入れます。横の力を全部足して ΣFx = 0、縦の力を全部足して ΣFy = 0、一点基準のモーメントを全部足して ΣM = 0 です。荷重の位置をドラッグすると、図の反力の値が式を通ってすぐ解けて出てくるのが見えます。図から式へ、式から答えへ行くこの一本が、事実上静力学の問題の全部です。切り離し、力を漏れなく描き、三つの式を立てて解く順番だけ身につければ、力とつりあいの基本は完成です。次の章からはこの道具でトラスのような本物の構造を解きます。