観測量は演算子であり、平均は期待値だ
量子力学では位置、運動量、エネルギーといったあらゆる観測量が、波動関数に作用する演算子です。位置はそのまま掛ける x̂、運動量は傾きを読む p̂ = −iℏ d/dx、エネルギーはハミルトニアン H です。一度測定するとその演算子の固有値が一つ得られ、何度も測定した平均は期待値 ⟨A⟩ = ∫ψ*Âψ dx です。演算子がどれだけ交換しないか、すなわち [x̂, p̂] = iℏ が不確定性の構造的な根です。まずは最初の図で ⟨x⟩ が何かを見てみましょう。
観測量を平均するとは、確率密度 |ψ|² で重み付き平均をとることです。位置の期待値は ⟨x⟩ = ∫ x|ψ|² dx、すなわち山の重心です。スライダーで山を動かしたり片側へ傾けたりすると ⟨x⟩ の印が追従し、幅 σ の帯はその平均のまわりに結果がどれだけ広がるかを示します。ここで σ = √(⟨x²⟩ − ⟨x⟩²) です。
運動量は波動関数の大きさではなく、位相の傾きに宿ります。平面波の位相 eik0x を掛ける k0 スライダーを動かすと、|ψ|²(塗りつぶし曲線)は少しも変わらないのに、運動量の期待値だけが ⟨p⟩ = ℏk0 と揺れます。運動量演算子 p̂ = −iℏ d/dx がまさにこの位相の傾きを読むからです。位置は大きさに、運動量は位相に宿ると覚えましょう。
演算子の固有状態にあれば、測定結果は確定します。単一のエネルギー固有状態なら棒は一本だけで、いつも同じ固有値が出て、広がり σE = 0 です。スライダーで二つ目の固有状態を混ぜると、|c₁|², |c₂|² の二本の棒がボルン確率どおりに分かれ、分布が生じます。固有状態は確定、混合は分布です。
なぜある対は同時に明確になれないのでしょう。同じ試行関数に x̂ を先に、次に p̂ を作用させるのと、p̂ を先に、次に x̂ を作用させるのとでは結果が違います。二つの順序をステップでたどると、その差がちょうど [x̂, p̂]ψ = iℏ ψ として残ります。演算子が交換しないというこの性質こそ、不確定性の構造的な根です。
平均は古典力学とどうつながるのでしょう。放物線ポテンシャル V(x) の中の波束を時間スライダーで動かすと、平均位置 ⟨x⟩ が古典的なボールのように左右に振動します。これがエーレンフェストの定理です。d⟨x⟩/dt = ⟨p⟩/m かつ d⟨p⟩/dt = −⟨dV/dx⟩ なので、期待値は平均として古典的な運動方程式に従います。