自由粒子は群速度で動き、広がる
閉じ込められていない自由粒子には、箱のような区切られたエネルギー段はありません。代わりにどんな波数 k も許され、各平面波は分散関係 ω(k) = ℏk²/2m で振動します。ここで不思議なことが起きます。波の山は位相速度 vp でゆっくり流れるのに、粒子が実際に進む速さはその二倍の群速度 vg です。しかも時間がたつと、まとまっていた波束はしだいに広がります。山、波束、分散曲線、広がりを一つずつ目で追いましょう。
まず一つの平面波を見ます。Re(ψ) = cos(kx − ωt) は果てしなく続くさざ波です。k スライダーで波の細かさを変え、時間スライダーで山を前へ行進させます。ここで k = 2π/λ は波数です。山が流れる速さが位相速度 vp = ℏk/2m として読み取れます。k を大きくすると山はより速く走ります。
今度は近い k のコサインをいくつも足して一つの波束を作ります。時間を流すと二つの速度が分かれます。印を付けた山一つは位相速度 vp でゆっくり進み、波束全体の峰はその二倍の群速度 vg で先へ進みます。峰が山を追い越すのが見えます。物質波では常に vg = 2vp で、粒子が本当に移動する速度は群速度です。
二つの速度の正体は分散曲線 ω(k) = ℏk²/2m にすべて入っています。この ω(k) は振動数を波数に結ぶ分散振動数で、振動子の ω でも、うなりの振動数でもありません。曲線上の点をドラッグしてください。その点での接線の傾き dω/dk が群速度 vg、原点からその点へ引いた弦の傾き ω/k が位相速度 vp です。放物線なので接線はつねに弦の二倍の急さで、読み取ると vg = 2vp が確かめられます。
自由粒子は放っておいても時間がたつと広がります。時間スライダーを押すほど |ψ(x,t)|² は幅広く平らになります。分散曲線が曲がっている、つまり d²ω/dk² = ℏ/m が 0 でないために起きることです。最初の波束を狭くするほど速く広がります。位置を狭めると運動量が広がるという不確定性とぴたりとつながります。
最後に自由粒子と箱を並べて見ます。自由粒子はどんな k も許すので、E(k) = ℏ²k²/2m は途切れない連続曲線です。対して閉じ込められた箱は E ∝ n² のとびとびの梯子しか許しません。トグルで切り替えると、自由はなめらかな連続、箱は離散の階段という違いがはっきりします。閉じ込めれば量子化し、解放すれば連続です。