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量子力学 わかりやすく

有限井戸型ポテンシャル わかりやすく

壁が無限ではなく有限だと、束縛準位はわずかしかなく、波動関数は壁の中へ指数的に染み出す。井戸が深いほど準位は増える。

前に扱った箱は壁が無限に高いので、束縛状態をいくつでも積み上げることができた。実際の井戸は深さ V0 が有限で、そうなると井戸の中にとどまる状態、つまりエネルギーが −V0 と 0 のあいだにある束縛状態の数は、決まったいくつかに限られる。また波動関数は壁で途切れず、壁の外へ e−κ|x| の形でしみ出すが、この κ はトンネル効果で見た減衰率と同じ量である。半導体の量子井戸、原子核の中の核子、分子の中の電子のように、現実に閉じ込められた粒子はたいていこうした有限の井戸の中にある。

井戸が有限だと、閉じ込められた状態の数にも限りができる。下の図は、半幅 a = 2 の井戸に閉じ込められた状態のエネルギー準位を金色の横木で描いたもので、上の点線が E = 0、井戸の底が −V0 である。井戸の深さと幅は、強度と呼ばれる無次元の数 z0 = a√(2mV0)ℏ 一つにまとめられ、束縛状態の数は 1 + ⌊z0π/2⌋ 個、つまり z0 が π2 の倍数を一つ越えるたびに一つずつ増える。最初の値 V0 = 6 では z0 = 6.93 なので束縛状態は五つで、準位は下から −5.76、−5.06、−3.92、−2.37、−0.56 である。スライダーで V0 をいちばん浅い 0.4 まで下げても状態は二つ残り、28 まで深くすると z0 = 14.97 で状態は十個に増える。井戸がどれほど浅くても、対称な一次元の井戸には束縛状態が少なくとも一つあり、いちばん上の準位は壁の頂のすぐ下に浅くかかっているので、井戸が少し浅くなるだけで消える。

束縛状態を一つ拡大すると、井戸の中と外で形が違う。井戸の中では波数 k = √(2m(E + V0))ℏ で揺れ、壁の外では κ = √(−2mE)ℏ を減衰率として e−κ|x| の形で弱まり、E が 0 より小さいので κ は実数である。下の図は深さ V0 = 8 の井戸で、井戸の中を金色、外の尾を緑で描いたもので、最初の値 E = −3.00 では下の数のとおり k = 3.16、κ = 2.45 である。スライダーで E を −0.25 まで 0 のほうへ上げると κ は 0.71 に小さくなって尾が太く遠くまで伸び、−7.60 まで下げると κ = 3.90 で尾は壁のすぐ近くで消える。図は E を自由に変えられるように壁で値だけをつないだもので、実際の束縛状態は傾きまでなめらかにつながるエネルギーでしか生じないので、この井戸の中央に対称な状態は E = −7.64、−4.83、−0.07 の三つだけである。

許されるエネルギーは超越方程式を解いて得られる。井戸の中の k と外の κ を u = ka、v = κa と置き換えると、中央に対称な偶状態は v = u·tan u、反対称な奇状態は v = −u·cot u を満たさなければならず、二つの数のあいだにはつねに u² + v² = z0² の関係がある。下の図は半径 z0 の四分円と tan または −cot の枝を一つの平面に描いたもので、二つが出会う点の一つひとつが許されたエネルギー一つである。最初の値 z0 = 5 では偶の交点と奇の交点が二つずつで合わせて四つ、スライダーで z0 を 11 まで大きくすると円がより多くの枝に届いて四つずつの八つになり、1 まで小さくすると偶の一つだけが残る。偶の枝は u = 0 から始まるので、z0 がどれほど小さくても円と必ず一度は出会い、これが浅い井戸にも束縛状態が一つは必ずある理由である。

エネルギーが 0 を越えると、状態の性質が変わる。下の図は深さ V0 = 7 の井戸で E を −6.60 から 5.00 まで動かすもので、E が 0 より小さい最初の値 −3.00 では、両側の尾が弱まる束縛状態が金色で描かれ、下に束縛状態(離散)と表示される。E を 0 より上に上げると曲線は緑に変わり、井戸の外でも小さくならず両側へ果てしなく揺れる散乱状態になって、表示も散乱状態(連続)に変わる。束縛状態は前の図の交点にあたるいくつかのエネルギーでしか生じない離散スペクトルであるが、E > 0 ではどんなエネルギーも許される連続スペクトルである。図では二つの場合を一本のスライダーで比べられるように E < 0 のどの値でも形を描いているので、束縛状態が実際に置かれる場所は三番目の図で探さなければならない。

最後に、井戸をだんだん深くする。下の図は半幅 1.6 の井戸の束縛状態を金色で、同じ幅の無限の箱での同じ n の sin 波形を緑の点線で重ねて描いたもので、ボタンで n = 1, 2, 3 を選ぶ。最初の値 V0 = 10 では金色の曲線の尾が壁の外へかなり出ていて、スライダーで V0 を 80 まで上げると κ が大きくなって尾が短くなり、井戸の中の波形が点線にほとんど重なる。波動関数が壁の向こうへしみ出す分だけ実際に使える幅が広がるので、有限の井戸の準位は同じ幅の箱より少し低く、基底状態は井戸の底から V0 = 10 のとき 0.37、80 のとき 0.44 だけ上にあって、箱の 0.48 に近づく。そのため V0 → ∞ の極限で有限の井戸は前に学んだ無限の箱に戻り、準位も Eₙ ∝ n² の比に近づく。

実際に使うまとめると、深さ V0 が有限の井戸には −V0 < E < 0 の束縛状態が有限の個数だけあり、その数は強度 z0 = a√(2mV0)ℏ で決まって 1 + ⌊z0π/2⌋ 個で、どれほど浅くても一つはある。井戸の中では k = √(2m(E + V0))ℏ で揺れ、外へは e−κ|x| でしみ出し、許されるエネルギーは偶状態 k·tan(ka) = κ、奇状態 −k·cot(ka) = κ を満たす値である。E > 0 なら連続スペクトルの散乱状態になり、V0 → ∞ なら無限の箱の sin 波形と Eₙ ∝ n² に戻る。半導体レーザーや LED の量子井戸はこの原理で井戸の幅と深さを選び、出す光の波長を決めている。次の講では、どこにも閉じ込められていない自由粒子の波が、時間とともにどう広がるのかを扱う。
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