混成は軌道を混ぜて新しい方向を作る
なぜ炭素はいつも四つの方向に結合するのでしょうか。純粋な s 軌道と p 軌道だけでは、メタンの整った四面体角を説明できません。混成とは、一つの原子の中の s 軌道と p 軌道を混ぜ合わせ、同じエネルギーを持ち特定の方向を向く新しい軌道を作るという考え方です。混ぜる s と p の比率が、軌道の向く方向の数とその間の角度を決めます。sp は直線、sp² は平面三角形、sp³ は四面体になります。
s 軌道は方向を持たない球で、p 軌道は前後に伸びた二つのローブです。スライダーで s 成分を少しずつ混ぜてみましょう。s は前のローブには足され、後ろのローブでは打ち消し合うので、片側が大きく反対側が小さい混成軌道になります。これほど方向のはっきりした軌道だからこそ、遠くまで伸びてよく重なり、結合を作れます。
混ぜる軌道の数が方向の数を決めます。s 一つに p 一つを混ぜると sp の二方向が正反対の 180 度、p を二つ混ぜると sp² の三方向が平面で 120 度、p を三つ混ぜると sp³ の四方向が四面体で 109.5 度になります。ボタンを押して、同じ原子の軌道たちが互いをできるだけ押しのけて、どの角度に落ち着くかを見ましょう。
メタンを自分で組み立ててみましょう。炭素は四つの sp³ 軌道を四面体の方向へ差し出しています。水素を一つずつ付けると、水素の s 軌道が各 sp³ ローブと正面で重なり σ 結合ができます。四つとも付くと完全に対称な CH₄ になり、すべての H-C-H 角がちょうど 109.5 度になります。
エチレンの二重結合を分解してみましょう。二つの炭素は sp² 混成なので、σ 結合一つが正面でつなぎます。しかし各炭素には、混成に使わなかった p 軌道が一つ、平面に垂直に残っています。この二つが側面で重なり、分子平面の上下に π 結合を作ります。π の重なりを保つには二つの炭素が同じ平面になければならず、二重結合は平らで自由にはひねれません。
結合角は、混成に含まれる s 成分に応じてなめらかに変わります。s 成分が 25% で sp³ の 109.5 度、33% で sp² の 120 度、50% で sp の 180 度になります。s 成分が多いほど軌道はより大きく開きます。スライダーを動かして s 成分と結合角が一緒に動くのを見れば、なぜ s 成分が集まる側の角が広がるのか、ベントの規則の感覚がつかめます。