偏光は振動の向きをふるい分ける
光の電場は進む向きと直角に揺れる。偏光板は、その揺れを一方向だけ通すふるいだ。二枚を直交させると光は消えるのに、その間にもう一枚差し込むと再びよみがえる。そのすべてを一つの角度で説明するのがマリュスの法則だ。
光は横波だ。電場は進行方向と直角に揺れる。偏光板は、その揺れのうち透過軸に沿う成分だけを通す。振幅は A₀cosθ に減り、強度は振幅の二乗だから I = I₀cos²θ となる。これがマリュスの法則だ。偏光サングラスもこの原理を使い、水面や道路で水平に反射したまぶしい光を縦の透過軸でふるい落とす。
偏光板をもう一枚置き、後ろの一枚(検光子)を回してみる。二つの軸が平行(0度)ならほとんど通り、直交(90度)なら完全に暗くなる。透過する強度は角度に応じて cos²θ の曲線を描く。液晶ディスプレイはまさにこの二枚の偏光板の構造を使い、間の液晶が振動の向きをひねって画素ごとの明るさを決める。
直角に重ねた二枚の偏光板は光を完全に遮る。ところが、その間に三枚目を斜めに差し込むと光がよみがえる。各板が電場を新しい軸へ投影するからだ。真ん中が45度のとき最も明るく、入射光の八分の一が通る。偏光板が光を減らすだけなら、板を増やせば暗くなるはずなのに、むしろ明るくなるという事実こそ、偏光板が振動の向きを新しい軸へ合わせ直す装置であることを示している。
自然光はあらゆる方向へ均等に振動する光だ。最初の偏光板を通ると、軸の向きがどこであっても強度はちょうど半分になり、その後は一つの向きにそろった直線偏光になる。次の偏光板からはマリュスの法則 cos²θ に従う。自然光がちょうど半分になるのは、あらゆる角度が均等に混ざっており、cos²θ を一周にわたって平均すると正確に二分の一になるからだ。
マリュスの法則の根は単純な投影だ。電場ベクトルを透過軸へ影のように落とすと、その長さは元の cosθ になる。強度はその影の二乗だから cos²θ だ。ベクトルが45度に傾くと影は元の長さの約0.707倍に縮み、それを二乗した強度はちょうど半分になる。ベクトルを回して、影が縮んだり伸びたりする様子を確かめよう。