軸をねじると剪断応力が半径に比例する
車の駆動軸、ドライバーで締めるねじ、発電機の回転軸。これらは引かれるのではなく、ねじられます。軸をねじると中で何が起きるでしょう。さきほど見た引張の話がほぼそのまま繰り返されますが、一つだけ決定的な違いがあります。ねじりでは応力が位置ごとに違うのです。中心軸はほとんど動かず、外側の表面が最も激しくねじれます。剪断応力が半径に正比例で大きくなります。τ = TρJ がそれを言っています。そしてねじれ角は φ = TLGJ、B1 の δ = PLAE と文字を入れ替えただけの双子です。この半径依存性ひとつが、なぜ重い軸の中を空けてよいのかまで説明します。
まず、ねじりとは何かを見ます。一端を固定し、反対側にトルク T を与えてねじってみてください。すると断面どうしが回転します。固定端は動かず、自由端が最も回ります。両端の回転の差がねじれ角 φ です。表面に長く引いた直線を見てください。ねじるほど螺旋に傾きます。大事なのは、断面そのものは平らなまま、丸い形も保つことです。円形断面はただその場で回るだけ。反ったり歪んだりしません。このきれいな性質のおかげで、ねじりはとても単純な公式にまとまります。
さて核心の洞察です。断面が丸ごと回るということは、中心から遠いほど点が大きく動くということです。同じ角度だけ回っても、半径の大きい点ほど弧の長さが長い。だから剪断ひずみ γ は半径 ρ に正比例します。中心軸では γ が 0、表面で最大。ウィジェットでねじりを大きくしてみてください。中心線は寝たまま、外側の縦線ほど急に傾きます。これがねじりのすべてです。ひずみが半径に線形に分布する。引張では断面全体が等しく伸びましたが、ねじりは位置によって違います。まさにこの違いが、次の応力分布を定めます。
剪断ひずみが半径に比例するなら、フックの法則 τ = G·γ により剪断応力も半径に比例します。中心で 0、表面で最大。式に書くと τ = TρJ です。T はねじりトルク、ρ は見たい位置の半径、J は断面の極慣性モーメントという幾何量です。J は引張の面積 A の位置に来ますが、違いがあります。A は単なる面積ですが、J は面積に半径の二乗を掛けて積分したもので、外側の材料がはるかに大きく寄与します。T をドラッグしてみてください。応力分布が中央は青く表面が赤く、三角形のように線形に大きくなります。だからねじり破壊はいつも表面から始まります。
では軸が丸ごとどれだけ回るか、ねじれ角 φ を見ます。φ = TLGJ です。B1 の δ = PLAE と並べてみてください。力 P の位置にトルク T、長さ L はそのまま、面積 A の位置に極慣性モーメント J、そしてヤング率 E の位置に剪断弾性係数 G。完璧な一対一対応です。トルクが大きいほど、軸が長いほど大きくねじれ、GJ が大きいほどねじれにくい。だから GJ をねじり剛性と呼びます。T をドラッグすると、自由端が φ だけ回ります。引張で棒がばねだったように、ねじれる軸はねじりばねです。トルクを与えると角度で返してくれる。
最後に、実務で最も役立つ結論です。応力もひずみも中心付近ではほぼ 0 でした。中心の材料はねじりにほとんど耐えず、重さだけを占めます。では中を空けたらどうでしょう。内半径をドラッグして芯をくり抜いてみてください。重さは半径の二乗で速く減りますが、剛性 J は半径の四乗なのでゆっくり減ります。だから中央をかなり空けても、ねじり剛性はほとんどそのまま残ります。単位重量当たりの効率が一気に上がります。自転車のフレーム、ドライブシャフト、ゴルフクラブがみな中空の管なのはこのためです。同じ重さでより硬く、または同じ剛性をより軽く。ねじりの半径依存性がくれた贈り物です。