応力は単位面積あたりの内力だ
棒を両端から引いています。外から見えるのは、両端の二つの力だけ。でも棒の中はどうでしょう。どの断面も、その力をそっくり受け持っています。それを目で見るには、棒を仮想的に一度切ってみるんです。切った面には、両側をつないでいた内部の力、内力が現れます。応力とは、まさにその切断面で、面積一つ分が受け持つ内力の量です。力そのものではなく、力の密度。この見方ひとつが、材料力学全体の出発点です。同じ荷重でも細い所が先に切れる理由が、ここにあります。
まず、棒を引いてみましょう。P をドラッグすると棒が伸び、強く引くほど大きく伸びます。これが引張です。両端を反対向きに引き離す状態。壁が一端をつかんでいるので、壁も同じ大きさで引き返します。これを反力と呼びます。今はただ感覚をつかめば十分です。力が棒を通り抜けていて、棒はそれに耐えている。その耐えている中身を、次の場面で開いて見ます。
今度は、棒を心の中で一度だけ切ります。本当に切るのではなく、ここで切ったらどうなる、と想像するんです。切った右側の塊だけ取り出して見ると、端で P が引いているのに、塊は飛んでいきません。切断面で、左側の塊が同じ力で引き留めていたからです。この引き留める力が内力です。切断面をドラッグして位置を動かしてみてください。どこで切っても、内力は常に P と同じ。外力が棒の中をそのまま貫いているんです。この仮想切断が、中を見る唯一の方法です。
同じ内力でも、棒が太いか細いかで中身はまるで違います。内力 P を断面全体で分け合って受け持つので、面積が広ければ一区画の取り分は小さくなります。その一区画の取り分が応力です。σ = PA。断面積 A をドラッグしてみてください。P はそのままでも、A が広がると色は青く低い応力に、狭まると赤く高い応力に変わります。だから同じ引張でも、細い部分が先に危なくなる。そこだけ応力が跳ね上がるからです。壊れるかどうかを決めるのは、力ではなく応力です。
力が切断面にどう作用するかも大事です。二通りあります。力が面に垂直に作用すると、面をまっすぐ引き離すか、押しつぶします。これが垂直応力 σ。引けば引張、押せば圧縮です。逆に力が面に沿って平行に作用すると、面を滑らせます。これが剪断応力 τ。ボタンで二つを切り替えてみてください。垂直はブロックを引き離し、剪断はブロックをずらして押す。どちらも力わる面積ですが、向きが違うので、材料の耐え方も、壊れ方も違います。ボルトやピンが切れるときは、たいていこの剪断が犯人です。
次は単位の感覚です。応力は力わる面積なので、単位は N/m²、これをパスカル Pa と呼びます。でも Pa は小さすぎるので、工学ではその百万倍のメガパスカル MPa を使います。覚えておくと便利なのは、1 MPa = 1 N/mm² ということ。1平方ミリメートルに1ニュートン。P をドラッグして棒を引きながら、σ が目盛りのどこに来るか見てください。大気圧はおよそ 0.1 MPa、コンクリートは数十 MPa、鋼が降伏するのは 250 MPa 前後です。数字にこの位置の感覚をくっつけておけば、計算結果が筋の通ったものか一目で分かります。