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単語帳
材料力学

軸を引くと δ=PL/AE だけ伸びる

部材全体の伸び δ = PL/AE、区間の和、剛性 k = AE/L

さきほど一点での応力 σ とひずみ ε を見ました。ところが実務で本当に知りたいのは、この棒が丸ごとどれだけ伸びるかです。ケーブルが何 mm 垂れるか、柱がどれだけ沈むか、といったことです。その伸びを δ と呼びます。驚くことに δ はたった四つで決まります。どれだけ強く引くか(P)、棒がどれだけ長いか(L)、どれだけ太いか(A)、何の材料か(E)。これを一行に結ぶと δ = PLAE です。材料力学で最もよく使う公式の一つです。そしてこの式を裏返すと、棒は実は剛性 k = AEL のばねだったことが明らかになります。

まず引きと伸びの関係から見ます。P をドラッグして棒を引くと、端が δ だけ進みます。二倍強く引けば δ も二倍。隣の小さなグラフを見ると、P と δ がまっすぐな直線で結ばれています。正比例です。これは実は、さきほど見たフックの法則 σ = E·ε を棒全体に拡大したものです。応力がひずみに比例したので、力は伸びに比例します。弾性域の中ではいつもこのきれいな直線です。だから半分引いたときの伸びを測っておけば、二倍引いたときの伸びもすぐ分かります。

では、伸びが何で決まるかを正確に見ます。δ = PLAE。四つの文字を一つずつ見ると、どれも筋が通ります。P が大きいほど伸び、L が長いほど伸び、A が太いほど伸びにくく、E が硬いほど伸びにくい。ここでは長さ L だけドラッグします。P、A、E はそのままで棒だけ長くすると、伸び δ が比例して大きくなります。なぜでしょう。1m の棒が 1mm 伸びるなら、1m ごとに 1mm 伸びるということです。だから 2m なら 2mm、3m なら 3mm。同じひずみでも長さが長ければ絶対的な伸びが積み重なります。A2 で見たひずみと長さの関係が、ここにそのまま入っています。

今度は分母です。δ = PLAE で A と E は下にあるので、大きいほど伸びを抑えます。断面積 A をドラッグして太くしてみてください。同じ力が広い断面に広がるので、応力が下がり伸びも減ります。材料ボタンで E も変えてみてください。鋼はほとんど伸びず、アルミは少し伸び、木はずっと伸びます。積 A·E をその棒の剛性と考えるとよいです。太く硬いほど剛性が大きく、同じ力でも動じにくい。橋のケーブルに細い糸でなく太い鋼線を使う理由が、まさにこの分母にあります。

実際の部材は太さが一様ではありません。階段のように断面が変わる棒を考えてみましょう。同じ力 P がすべての区間を等しく貫きますが、区間ごとに太さが違うので伸びも違います。全体の伸びは、各区間の伸びをただ足し合わせたものです。δ = Σ PLAE、区間ごとに計算して合計します。P をドラッグしてみてください。最も細い区間が最も赤く、最も伸びるのが見えるはずです。同じ力でも、断面の狭いところに変形が集まるからです。だから部材を設計するとき、最も弱い一区間が全体の挙動を左右します。鎖が最も弱い輪で切れるように。

最後に δ = PLAE を裏返してみましょう。P = (AEL)·δ と書けば、これはちょうどばねの法則 F = kδ と同じ形です。つまり軸部材は剛性 k = AEL のばねなのです。P をドラッグするとばねが伸び、δ = Pk でついてきます。k が大きいと硬いばねでほとんど伸びず、k が小さいと柔らかくよく伸びます。この見方が強力なのは、複雑な構造をいくつものばねに置き換えて解けるからです。直列につなぐと剛性が一つの形で合わさり、並列に置くとまた別の形で合わさります。棒をばねと見た瞬間、構造解析がなじみのばね問題に変わります。

実際に使うまとめると、軸部材の伸びは δ = PLAE です。強く引くほど(P)、長いほど(L)伸び、太いほど(A)、硬いほど(E)伸びにくい。分母の積 AE が、その部材の軸剛性です。断面が区間ごとに変わるなら δ = Σ PLAE で区間ごとの伸びを足し、最も細い区間に変形が集まります。そして式を裏返すと P = (AEL)δ、つまり棒は剛性 k = AEL のばねです。工学ではこの式は、ケーブルのたわみ、ボルトの伸び、トラス部材の変形、熱膨張の拘束力まで、どこにでも現れます。次の講では同じ部材を引く代わりにねじり、ねじりと剪断応力 τ = J へ進みます。
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