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機械振動 わかりやすく

固有振動数 わかりやすく

おもりを引いて離すと自ら振動し、剛性↑·質量↓で速くなる、ωₙ = √(k/m)

ばねの先につるしたおもりを横に引いてから放すと、だれが押さなくても、おもりは自分の拍子で行ったり来たりし始める。強く引いても軽く引いても一往復にかかる時間は変わらず、その系が自分で決めるこの拍子を固有振動数という。ぶらんこや橋、建物、音叉のように振動するものには、どれもそれぞれの固有振動数がある。この拍子を決めるのは二つだけで、ばねがどれだけ硬いかを表す剛性 k と、おもりがどれだけ重いかを表す質量 m である。硬いほど速く、重いほど遅くなり、この二つをまとめた式 ωₙ = √(km) が振動工学全体の出発点である。

手を放すとおもりは自分の拍子で揺れはじめ、その動きには名前がある。下の図でおもりを横に引いてから放すと、手を離した瞬間におもりが自分で振動を始め、下の帯に変位が時間とともに描かれる。その形は x = A cos(ωₙ t) で表されるなめらかな波で、このような運動を単振動という。この系は k = 8、m = 2 に固定されているので ωₙ = 2.0 で、単位を N/m と kg と読めば ωₙ の単位は rad/s、一往復の周期は 2π2.0 ≈ 3.1 秒である。大きく引いてから放すと波の高さである振幅 A が大きくなり、少しだけ引くと小さくなるが、波が一回うねる間隔はどちらでも同じである。振幅は最初にどれだけ引いたかで決まり、拍子は系の k と m で決まるからである。このことは、摩擦がなく、ばねがフックの法則に従う範囲で成り立つ。

次に、質量は m = 2 のまま、ばねの剛性 k だけを変える。下の図のスライダーで k を 1 から 18 の間で動かすと、おもりの振動の速さが目に見えて変わり、最初の値 k = 4 では ωₙ は 1.41、k を 16 に大きくすると 2.83 になる。硬いばねは同じ変位でもおもりをつり合いの位置へより強く引き戻すので、おもりは速く戻り、一往復の時間が短くなる。自動車のサスペンションで、硬いばねの車は路面の衝撃に短く速く揺れ、柔らかいばねの車は長くゆっくり揺れるのも同じ理屈である。復元力が強いほど拍子が速くなる、これが一つ目の規則である。ただし k を四倍にしたのに ωₙ が二倍にしかならなかった点は、四つ目の図でもう一度考える。

今度は逆に、剛性を k = 8 にしたまま質量 m だけを大きくする。下の図のブロックは m が大きいほど大きく描かれ、スライダーで m を 1 から 16 の間で動かすと、振動がだんだん遅くなる。最初の値 m = 2 で ωₙ は 2.00、m を 8 にすると 1.00、端の 16 まで大きくすると 0.71 に下がる。重い物体は慣性が大きく、同じ力を受けても速さがゆっくりとしか変わらないので、同じばねにつるしても一往復に時間がかかる。大きな鐘が小さな鐘より低くゆっくりした音で鳴るのも同じ理由である。質量が大きいほど拍子が遅くなる、これが二つ目の規則で、剛性とは逆の向きにはたらく。

二つの規則を一つの式にまとめたものが固有角振動数 ωₙ = √(km) で、剛性 k は分子に、質量 m は分母に入る。下の図は k と m の二つのスライダーで比 km を変えると √ の曲線の上を点が動くもので、最初の値 k = 8、m = 2 では ωₙ は 2.00、周期 T は 3.14、振動数 f は 0.318 である。曲線が最初は急で、だんだんゆるやかになるのは平方根のためで、前の図のように k を 4 から 16 へ四倍にしても、ωₙ は 1.41 から 2.83 へ二倍にしかならない。そのため拍子を二倍に速くするには、ばねを四倍硬くするか、質量を 1/4 に減らす必要がある。周期と振動数は T = 2πωₙ、f = ωₙ2π = 1T で結ばれ、角振動数 ωₙ の単位が rad/s なのに対し、f の単位は毎秒の振動の回数を表す Hz である。

同じ原理は、ばねの外でもそのまま通用する。下の図のボタンで振り子、高層ビル、音叉を選べ、それぞれが自分の拍子で揺れる。振り子の固有角振動数は ωₙ = √(gL) で、糸の長さ L と重力加速度 g だけが入り、おもりの質量は消えるので、糸の長さが同じなら重いおもりも軽いおもりも同じ拍子で揺れる。振り子の振れ幅によらず拍子がほぼ同じだということは、ガリレオが大聖堂のランプを見て気づいたという話で伝えられている。高層ビルは高いほど柔らかく重いのでゆっくり揺れ、よく使われる目安では階数に 0.1 秒を掛けた値がおおよその周期で、50 階建てなら 5 秒前後である。音叉は短く硬く軽いので毎秒数百回振動し、図では見えるようにずっとゆっくり描いてある。

実際に使うまとめると、どの振動系にも自分で決める拍子、つまり固有角振動数 ωₙ = √(km) がある。剛性が大きいほど速く、質量が大きいほど遅く、最初にどれだけ強く揺らしたか、つまり振幅とは関係がない。平方根のため、拍子を二倍にするには剛性が四倍必要で、周期は T = 2πωₙ、振動数は f = 1T である。機械や構造物を設計するときは、モーターや風、足音のように外から揺らす振動数が、この固有振動数と重ならないようにするのが最初の計算である。重なると共振が起こって振幅が大きくふくらむので、橋や建物、エンジンの台座、回路基板まで、まず固有振動数を求める。次の講では、この振動の中でエネルギーがばねとおもりのあいだをどう行き来するかを扱う。
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