振動絶縁 わかりやすく
A4 の共振は質量を直接押しましたが、現実に揺れるのは床です。道路の凹凸、地震、隣で回る機械がそうです。基礎が Y だけ揺れるとき質量が X だけ揺れる比、つまり伝達率 TR = XY が核心です。駆動振動数が固有振動数の √2 倍を越えて、ようやく揺れが小さくなる絶縁が始まります。その境界の手前では、床の動きはかえって大きくなります。
質量に力を与える代わりに、床を揺すります。駆動比 r = ωωₙ を変えると三つが現れます。遅いとき(r≪1)質量は床をそのまま追い(TR≈1)、共振の近く(r=1)ではより大きく揺れ(TR≫1)、速いとき(r が大きい)質量はほとんど静かです(TR<1、絶縁)。床が速いほど、質量は元の位置に残ります。
伝達率の曲線が地図です。r を動かすと r=1 で共振の山が立ち上がり、r=√2 では減衰に関係なく正確に TR=1 を通ります。その右側、r>√2 の区間だけで TR<1 の本当の絶縁が開きます。緑に塗った側が、守ることのできる領域です。
ではどう絶縁するのでしょう。駆動振動数はすでに決まっているので、受けを柔らかくして剛性 k↓ → ωₙ↓ と下げ、r を √2 の向こうへ押し込みます。剛性を下げる途中で共振(r=1)を一度通り過ぎて大きく揺れますが、さらに柔らかくすると質量は静かになります。絶縁の秘訣は、柔らかい受けです。柔らかいほど静かになります。
減衰は両刃の道具です。減衰比を大きくすると共振の山は下がりますが、絶縁の区間(r>√2)ではかえって TR が上がり、絶縁が悪くなります。すべての曲線が r=√2 かつ TR=1 の一点で交わることが、その証拠です。だから受けは、始動と停止のときに共振を耐えられるだけの減衰を与え、それ以上は避けます。
同じ伝達率が両方向を支配します。例を送ると、自動車のサスペンション(道路→車体)、エンジンや洗濯機のマウント(機械→床、ここでは力の伝達)、精密機器や顕微鏡の防振台(床→装置)が出てきます。床から質量を守るのでも、機械から床を守るのでも、曲線は同じで処方も同じです。固有振動数 ωₙ を下げればよいのです。