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単語帳
工業数学

テイラーは曲線を多項式で真似る

一点の周りに多項式を積み、中心から離れるほど誤差が増す

曲線は複雑で、多項式は扱いやすい。テイラーの発想は単純です。一点を選び、その点で曲線と高さが同じ、傾きが同じ、曲がり具合(二階微分)が同じ、というように、より多くの導関数を合わせていく多項式を積み上げます。次数を上げるほど、その点の近くで曲線を忠実に真似ます。sin・cos・ex のような超越関数も、結局は無限に足した多項式(べき級数)で書け、電卓はまさにこの方法で値を求めます。ただし中心から離れると近似は崩れます。その崩れの大きさが剰余項(打ち切り誤差)であり、この講群のすべての数値解析は、結局この誤差と闘う物語です。

次数スライダーを上げてみてください。次数1は接線(直線)にすぎず、すぐ曲線から外れます。3・5・7と上げると、多項式は sin 曲線をより広く抱きしめます。鍵は「中心の近く」。どの次数でも中心(ここでは0)に近いほどよく合い、両端へ行くと結局離れます。多項式は遠方で必ず発散するからです。それでも項を十分足せば、見えている区間全体で sin とほぼ見分けがつかなくなります。

今度は ex を一項ずつ積み上げましょう。最初の項は1(定数)、次が x、その次が x²/2、x³/6 というように、各項は xᵏ/k! です。下の棒は x=2 での各項の大きさで、初めは大きくなり、分母の階乗(k!)が効くと急速に小さくなります。だから部分和は一つの値に落ち着きます。項を増やすと T(2) が真値 e²≈7.39 に近づくのを見てください。こうしてすべての x で収まる関数を解析関数と呼び、ex・sin・cos が代表例です。次の講では、どこまで収まるか(収束半径)を問います。

赤い棒は sin と多項式の間隔、つまり誤差です。探針 x を中心0の近くに置くと棒はほとんど見えません。ところが探針を両端へ動かすと、ある点から棒が急に長くなります。次数を上げるとよく合う区間は広がりますが、その先では依然として爆発します。テイラー近似を使うとき最も大切な感覚はこれです。誤差を決めるのは「どれだけ正確か」ではなく「中心からどれだけ離れたか」。だから実務では、中心を自分が知りたい点の近くに取ります。

次数1のテイラー、つまり接線を一歩だけ踏み出してみましょう。ある点で傾きを測り、その直線で h だけ進んで次の値を予測します。破線がその予測、曲線が真値です。h が小さいと二つはほぼ一致しますが、h を大きくすると赤い間隔が開きます。この間隔が1次テイラーの剰余項、すなわち打ち切り誤差です。そしてこれはまさにオイラー法(この講群の第5講)が一歩ごとに行うことです。微分方程式から傾きを受け取り、直線で一歩ずつ前進する。だから近似と数値解析は同じ根を持ちます。多項式近似の剰余項が、そのまま数値解法の誤差になるのです。

関数を選んでください。sin を選び項を1にすると sin x ≈ x です。物理で振り子や小さな揺れを解くとき必ず使う小角近似がまさにこれで、角が小さいほどよく合います。cos は 1 − x²/2、ex は 1 + x + x²/2 から始まります。電卓やコンピュータは sin・cos・ex・対数を、こうした多項式(と少しの補正)で計算します。掛け算と足し算しかできない機械が超越関数を扱う秘訣です。原則はいつも同じ。必要な精度を決め、その分だけ項を使う。

実際に使うテイラー多項式は、一点で曲線の高さ・傾き・曲率を順に合わせて積み上げた多項式です。次数が高いほど、中心に近いほどよく合い、合わない分が剰余項(打ち切り誤差)です。sin・cos・ex のようにべき級数で書ける関数が解析関数で、電卓が値を求めるときの道具です。1次テイラーの一歩がそのままオイラー法の一歩なので、近似の剰余項がそのまま数値解析の誤差になります。この講群の残りは、その誤差をどう小さくし手なずけるかを見ます。べき級数の収束半径、ニュートン法、固定点、オイラー法、数値積分、そして誤差の次数まで。
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