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単語帳
工業数学

ラプラシアンは近傍平均との差だ

一点が近傍平均からどれだけ高いか低いか、勾配の発散で拡散と調和関数を生む

ある点に立って、すぐ周りの近傍が持つ値を平均してみてください。その平均が、自分の立つ場所の値より高ければ、あなたは近傍より低くえぐれた窪みにいます。平均が低ければ、盛り上がった峰にいます。この差こそがラプラシアンです。勾配の発散(∇·∇f)、すなわち ∂²f/∂x² + ∂²f/∂y² であり、結局「近傍平均からどれだけ外れているか」を一つの数で測ったものです。峰では負、窪みでは正。この一つの量が、熱の広がり方、張られた膜の落ち着く形、電位の定まる規則まで引っ張ります。ベクトル解析の束(勾配・発散・回転)を、一点の二階微分で締めくくる演算子です。

場の上で探針を動かしてみてください。探針を置くたびに、小さな環として近傍の標本点が六つ巻きつきます。画面の下に三つの数が現れます。中心の値、近傍六点の平均、そしてその二つの差に比例する ∇²f です。峰(右上)の上に置くと、近傍平均が中心より低いので ∇²f は負、青い峰です。窪み(左下)の上に置くと、近傍平均のほうが高いので ∇²f は正、金の窪みです。ラプラシアンが結局「近傍平均から自分がどれだけ外れているか」という一つの数であることを、手で直に確かめてください。

今度は同じ場で、ラプラシアンがなぜ「勾配の発散」なのかを見ます。探針を動かすと、その周りの環に勾配の矢印が六つ現れます。各矢印は、その場所で最も急な上り坂を指します。峰の上では矢印がすべて探針のほうへ集まります。上りは内側の峰を向くからです。内へ集まる流れは発散が負、だから ∇·∇f < 0。窪みの上では矢印がすべて外へ張り出し、発散は正、∇·∇f > 0 です。画面には「∇²f = ∇·(∇f)」とその生きた値が並びます。発散(3講)が勾配(2講)にもう一度作用したものがラプラシアンだということを、矢印で直に見てください。

では一点ではなく、場全体のラプラシアンを色で見ます。スライダー s は右上の峰の高さを 0.5 から 3 まで変えます。背景の色がそのまま ∇²f の地図です。金は窪み(∇²f > 0、平均より下)、青は峰(∇²f < 0、平均より上)で、峰の頂と窪みの底が最も濃く現れます。s を上げると右上の峰がせり上がり、その場所の青い領域が濃く広くなります。s を下げるとその峰が静まり、青が薄れます。左下の窪みは s と無関係に金のまま残ります。スライダー一つがラプラシアンの地図全体を塗り直すのを見てください。

ラプラシアンがどこでも0の場を調和場(harmonic)と呼びます。ボタンで二つの場を切り替えてみてください。一つは h(x,y) = x·y、鞍の形です。すべての点で横に凹んだ分だけ縦に凸なので、二つがちょうど打ち消し合って ∇²h = 0 です。中心の標本の ∇² の表示がほぼ0で現れます。もう一つは b(x,y)、ガウスの隆起、本物の盛り上がった瘤なので、中心で ∇²b ははっきりと負です。要点はこれです。調和場は内部に峰も窪みも持てません。すべての点が近傍の平均に等しいので、最も高い、または低い場所はつねに境界だけにあります。これが定常状態の熱・電位・膜の深い規則です。

ラプラシアンがなぜ拡散のエンジンなのかを見ます。熱方程式は ∂f/∂t = ∇²f です。各点の値が、瞬間ごとにそのラプラシアンの分だけ変わるという意味です。窪み(∇²f > 0)は上がり、峰(∇²f < 0)は下がる、だからどこも近傍平均のほうへ引かれます。格子には峰を二つ載せた、でこぼこの初期状態があります。「一歩」ボタンを押すたびに、各マスが近傍平均のほうへ一歩近づきます。自動の繰り返しはありません。押したときだけ一歩進みます。押すほどに峰は低まり、谷は埋まり、色が一様にほどけていきます。「リセット」で最初のでこぼこへ戻ります。歩数を数えながら、ラプラシアンが差を消していくのを段階で直に見てください。

実際に使うラプラシアン ∇²f = ∇·∇f = ∂²f/∂x² + ∂²f/∂y² は、一点の値が周りの近傍の平均からどれだけ外れているかを測ります。正なら近傍に対して窪み(平均のほうが高い)、負なら峰(平均のほうが低い)、0なら近傍平均にちょうど等しい。だからラプラシアンは、勾配(2講)に発散(3講)をもう一度かぶせた二階の演算子です。∇²f = 0 の調和場は内部に峰も窪みも持たず、極値はつねに境界に置かれます。熱方程式 ∂f/∂t = ∇²f が示すように、ラプラシアンは差を消して平均へ落ち着かせる拡散のエンジンであり、工学では熱・拡散・電位・膜の平衡、ラプラス方程式 ∇²f = 0 が、すべてこの一つの演算子で結ばれます。これで、ベクトル解析の束(勾配・発散・回転・線積分・面積分)が、一点の二階微分で閉じます。
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