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工業数学 わかりやすく

四つの基本部分空間 わかりやすく

列空間・零空間・行空間に分かれ、階数+退化次数=n、解が0個・1個・無限個かを定める

行列にベクトルを入れると別のベクトルが出てきます。ところが入る入力がすべて同じ扱いを受けるわけではありません。ある方向は無事に生きて出てきて、ある方向はまるごと 0 に押しつぶされます。だから行列一つが空間を四つの断片に分けます。出力側には到達できる結果の全部である列空間があり、入力側には 0 に死ぬ方向である零空間があります。生き残る方向の数であるランクと、死ぬ方向の数である退化次数を足すと、いつも入力の次元になります。この絵一つで A x = b がなぜ解がなかったり、ちょうど一つだったり、無限にあったりするかが全部解けます。逆行列だけでは見えなかった構造です。

入力ベクトルをドラッグして見ます。この行列は二つの列が同じ方向を指す平たい行列なので det=0 で、緑の列と橙の列が重なっています。どこへドラッグしても出力 A x は金色の直線の上にだけ落ちます。青い入力がその直線へ折りたたまれます。その直線がまさに列空間です。A x は結局、第一列の何倍かに第二列の何倍かを足したもの、つまり二つの列の組合せですが、二つの列が平行なのでその組合せが作れるのはその平行方向の直線だけです。出力はその線から絶対に出られません。到達できる結果の全部がこの 1 次元の直線に閉じ込められています。これが像 (image)、つまり列空間です。

同じ平たい行列で、今度は入力側を見ます。0 に死ぬ入力が別にあります。青い入力をドラッグして青い直線の上に乗せると、出力 A x がちょうど原点に張りつきます。その直線が零空間で、列空間は金色の点線のまま残ります。その方向から入った入力はまるごと 0 に押しつぶされて跡も残りません。その直線から少しでも外れると、出力はすぐ列空間の上へ跳ね上がります。一点ではなく直線全体が 0 へ行くのです。だから A x = 0 の解は x = 0 一つではなく無限にあります。この 0 でない零空間があるという事実が、解がなぜ複数あり得るかの鍵になります。

ここでスライダーで行列を生きている状態から平たい状態へ崩します。スライダーを一方の端に置くと行列は完全なランク 2 です。単位正方形が金色の平行四辺形に変わり、緑の列と橙の列が別の方向を指します。0 へ行く入力は x = 0 一つだけなので退化次数は 0 です。スライダーを回して一つの列を別の列の方へ倒すと二つの列が平行になり det が 0 へ行き、平行四辺形が一つの線分に押しつぶされます。その瞬間ランクは 1、退化次数は 1 になります。一本の直線がまるごと 0 へ行くからです。どちらでもランク足す退化次数はいつも 2 です。入力の次元が二つの取り分にぴったり分かれます。生き残った次元であるランクは緑の数、死んだ次元である退化次数は青い数、その和は金色でいつも入ってきた次元に等しいです。これがランク・退化次数の定理です。

入力平面をもう一度見ます。零空間だけではなく行空間も入力側にあります。行空間は行列の二つの行が張る方向で、平たい行列ではこれも一本の直線です。二つの直線を点けると、金色の行空間と青い零空間がちょうど 90 度で交わります。二つは直角で互いを補う対です。分解のボタンを押すと一つの入力が二つの断片に分かれます。A x の各成分は一つの行と入力の内積で、入力が零空間にあればその内積は 0、つまりその入力がすべての行に垂直だという意味です。だからすべての入力ベクトルは二つの断片に分かれます。行空間成分は出力に生き残り、零空間成分は 0 に消えます。生かす半分と殺す半分が直角に分かれたのです。

ここで四つの部分空間の絵で A x = b を解きます。スライダーで目標を動かすと答えが現れます。目標が金色の列空間の直線の上になければ、その目標へ届く入力自体がないので解は 0 個です。目標を列空間の上へ載せると急に解が現れますが、一つではありません。特殊解一つに零空間全体を足したもの、つまり青い点線で描いた零空間方向へ平行移動した直線全体がすべて解なので無限にあります。特殊解は目標へ届く一つの入力で、そこに 0 に死ぬ方向をいくら足しても出力はそのままです。もし零空間が 0 だけの完全なランクの行列だったなら解はちょうど一つ、それが逆行列の出していた答えです。0 個と 1 個と無限個、この三つの枝がすべて四つの部分空間の形からまっすぐ出てきます。

実際に使う行列は空間を四つの部分空間に分けます。出力側には列空間、つまり像=到達できる結果の全部と左零空間があり、入力側には行空間と零空間があります。零空間は A x = 0 になる、つまり 0 に死ぬ入力方向で、列空間は二つの列の組合せが張る像です。ランク、つまり生き残る次元 = 列空間の次元に、退化次数、つまり零空間の次元を足すと、いつも入力の次元です。行空間と零空間は入力平面で直角に補い合います。この構造が A x = b の解を決めます。目標が列空間の外なら解は 0 個、中なら特殊解足す零空間全体なので、零空間が 0 なら 1 個、そうでなければ無限個です。逆行列が見せられなかった非可逆行列の中身が、ここで全部現れます。データ圧縮のランク、回路の解、最小二乗の射影が、すべてこの四つの空間の上に立ちます。
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