回転 curl とは
流れる水の上にごく小さな風車を浮かべ、流されないようピンで一点に固定したとしましょう。その場で風車が回れば、その点に回転があります。回転(curl)は、その場の渦の強さを測る量です。反時計回りなら正、時計回りなら負です。発散が一点から漏れ出す量を問うたなら、回転は同じ場がその場で回るかどうかを問います。流体の渦、回転する機械、そして場が保存的かどうかの判定が、この一つの数にかかっています。下の図の風車は、まさにその点の回転を指しています。
一つの場に渦が二つ入っています。探針をドラッグすると、その場所に小さな曲がった矢印が現れ、それがその点で風車の回る向きです。左の渦の上では矢印が反時計回りに曲がって金色になり、右の上では時計回りに曲がって青になります。二つの渦の真ん中では回転がほぼ 0 なので、矢印は小さくなります。曲がった矢印が長く太いほど、その場の渦は強いということです。矢印が消えるほど小さくなる場所は、回転のないところです。
回転の符号は、そのまま回る向きです。ボタンを押すと三つの場が切り替わります。F=[−y, x] は反時計回りに回る塊の回転なので ∇×F=+2 であり、F=[y, −x] は時計回りなので −2 です。三つ目の F=[y, 0] は横へ滑るだけの剪断で、矢印が平行な直線に見えても回転は −1 であり 0 ではありません。上の列と下の列で速さが違うと、間に挟まれた風車は回ります。矢印がまっすぐ見えても、回転がないとは言えません。固定した円のまわりで足した循環が、同じ符号を示します。
回転も、二つのかけらの差です。最初のかけら ∂v/∂x は東へ進むとき縦の速さがどれだけ変わるかであり、二つ目の −∂u/∂y は北へ進むとき横の速さがどれだけ変わるかです。探針をドラッグすると、二本の棒が別々にのびます。緑が ∂v/∂x、橙が −∂u/∂y です。二つを足した値が回転 ∇×F であり、図の下の式 ∂v/∂x − ∂u/∂y = ∇×F のとおりです。棒が一本だけ大きくても回転は生まれ、二つが同じ符号で足されると渦の中心のように回転が最も強くなります。符号が逆で打ち消し合うと、回転は 0 に近づきます。
回転は一点の量ですが、測り方は小さな輪を描くことです。輪の縁に沿って流れがどれだけ回るかを足すと、循環になります。輪の中心をドラッグし、スライダーで半径を縮めると答えが見えます。循環そのものは輪が大きいほど大きくなりますが、循環を輪の面積で割った値は、輪を縮めるほど一つの値に寄っていきます。その値が中心での回転です。輪を点へつぶしたときの、単位面積あたりの回りが回転の定義です。図の下には循環、面積で割った循環、中心の回転が並び、半径を縮めるほど真ん中の値が最後の値へ近づきます。左の渦に置くと正へ、右に置くと負へ寄ります。
今度は回転そのものを色で塗った地図です。金色は反時計回りの回転なので正、青は時計回りなので負であり、薄い矢印が流れを示します。スライダーは二つの渦のあいだの距離を広げます。近づけると二つの回転の染みが真ん中で互いを削り、回転はぼやけます。遠ざけると金色と青の二つの染みがくっきり分かれます。一点一点の回転を集めれば、場のどこが反時計回りでどこが時計回りなのかが見える回転の地図になります。この矢印に沿って積み上げる仕事は、線積分で続きます。