ステップ応答
s は最終値に落ち着くか
上はインパルス応答 h(τ) で、スライド時刻 t までの緑の面積がその時刻のステップ応答 s(t) だ。下はその s(t) 曲線だ。t を大きくし、s が頂点を越えて点線の最終値に落ち着くのを見よ。
ステップを入れるとインパルス応答が積もる
単位ステップ u(t) はインパルスを左から t まで累積したものだった(A2)。システムが LTI なので入力の積分には出力も積分で答える。だからステップ応答はインパルス応答を同じく累積したもの、s(t) = ∫₀ᵗ h(τ) dτ だ。画面の緑の面積が各時刻でまさにこの値を描く。
s と h は積分·微分の対
累積が積分なので、逆にステップ応答を微分するとインパルス応答が戻る。h(t) = ds/dt だ。実務では正確なインパルスは作りにくいがステップは簡単に作れるので、ステップ応答を測って微分する方法でインパルス応答を得る。インパルスとステップが A2 で一対だったように、二つの応答も一対だ。
最終値は DC ゲイン
安定なシステムでは h が 0 へ収まるので累積面積が止まり s が有限の最終値に落ち着く。その値 s(∞) = ∫₀^∞ h(τ) dτ は一定入力(DC)に対する出力の大きさ、すなわち DC ゲインだ。落ち着くまでの立ち上がり時間·オーバーシュート·整定時間はすべてこのステップ応答から読む実務指標で、制御設計で再び詳しく扱う。
最初の画面に戻ると
h の正の山が加わると s は速く上がり最終値を越え、続いて負の谷が加わって振動し、h が 0 へ収まると落ち着いた。スライド時刻までの緑の面積が各瞬間まさに s(t) だった。ステップ応答はインパルス応答を一度積分したもので、微分すれば h に戻る。落ち着いたその値が DC ゲインだ。こうして一つのインパルス応答で LTI システムの時間領域の絵が完成する。
ここまでで LTI システムを時間領域で完全に描いた。インパルス応答一つと畳み込みがあれば、どんな入力の出力も分かる。だが畳み込みは手間がかかる。次章フーリエでは、信号を正弦波の和と見る新しい視点を開く。LTI システムに正弦波を入れると同じ周波数の正弦波が大きさと位相だけ変わって出るので、時間領域の面倒な畳み込みが周波数領域の単純な掛け算に変わる。その出発点が次のユニットフーリエ級数だ。