スペクトル
線を目標周波数に合わせる
上の図は純粋な正弦波 cos ωt の時間波形で、下の図はそのスペクトルです。正弦波は自分の周波数の位置に線一本として現れます。スライダーで角周波数 ω を動かすと、時間波形の振動の速さと青い線の位置がいっしょに変わり、線が金色の破線の目標 ω = 4.5 に届けば一致です。
スペクトルは周波数の住所録
スペクトルは横軸が周波数、縦軸が大きさの図です。信号の中にどの周波数がどれだけ入っているかを、その周波数の位置に立てた棒の高さで表し、純粋な正弦波は周波数が一つだけなので線一本で立ちます。線の横の位置が周波数、高さが振幅で、周波数を変えると線が横に滑ります。この図は正の周波数だけを描いた片側スペクトルなので線の高さは振幅 1 と同じで、負の周波数まで描く両側スペクトルでは ±ω に高さ 0.5 の線二本に分かれます。
大きさと位相、二枚の図
一つの成分を完全に書くには大きさだけでは足りず、その正弦波がいつ山に届くか、つまり位相も必要です。だからスペクトルは二枚です。大きさスペクトル |X| には周波数ごとにどれだけ強いかが、位相スペクトル ∠X には周波数ごとにどれだけずれているかが書かれ、二つを合わせてはじめて信号が完全に決まります。この画面では位相を 0 にして、大きさの一枚だけを描きました。
時間と周波数は一対
時間波形とスペクトルは同じ信号の二つの顔で、互いに行き来できます。スペクトルの成分をもう一度足せば時間波形になり(合成)、時間波形から周波数ごとの量を測ればスペクトルになります(分析)。周期信号は前のユニットのように高調波の位置にだけ線が立つ離散スペクトルをもちますが、周期のない信号ならどうなるでしょうか。その答えが次のユニットのフーリエ変換です。
最初の画面に戻ると
角周波数のスライダーを動かすと時間波形の振動が速くなったり遅くなったりし、同時にスペクトルの線がその周波数の位置へ滑りました。二つの変化がいつもいっしょに起きたのは、どちらも同じ信号を時間軸と周波数軸から見た姿だからです。線の横の位置は周波数、高さは大きさでした。スペクトルは信号を周波数の言葉で書き直したもので、時間波形とまったく同じ情報をもつ相棒です。
周期信号のスペクトルは、高調波の位置にだけ線が立つ離散の絵でした。ではパルス一つのように繰り返さない信号は、どんなスペクトルをもつのでしょうか。次のユニットフーリエ変換では周期を限りなく伸ばす極限を追い、高調波の間隔が 0 へ狭まるにつれて、離れていた線がすき間のない連続スペクトルに溶け込みます。離散和が積分に変わるその瞬間が、フーリエ変換の生まれる場所です。