s 平面と極·零点
極を動かすと応答が変わる
左は s 平面で、× が極の対 s=σ±jω だ。緑の領域が安定な左半面、中央の縦線が虚軸だ。下はその極の自然応答 e^(σt)cos(ωt) だ。二つのスライダーで極を動かし、応答が 0 へ収まる左半面へ引き込め。
極は無限大、零点は 0
伝達関数は分子と分母の比 H(s) = N(s)/D(s) で書く。分母 D(s) を 0 にする s で H が無限大に跳ね上がり、その点を極と呼び平面に × で打つ。分子 N(s) を 0 にする s では H が 0 になり、その点を零点と呼び ○ で打つ。システムの自然応答の形は極がほぼすべて定め、零点はその形に重みを加える。
実部は減衰、虚部は振動
極 s = σ + jω が作る自然応答は e^(σt)cos(ωt) の形だ。実部 σ は指数 e^(σt) の減衰率で、σ が負なら収まり、負であるほど速く収まる。虚部 ω はコサインの角周波数で、実軸から遠いほど速く振動する。だから平面上の極の横位置はどれだけ速く消えるか、縦位置はどれだけ速く揺れるかを一目で見せる。実極(ω=0)なら振動なしの単純減衰だ。
左半面なら安定
システムのすべての極が虚軸の左、すなわち実部が負の左半面にあれば、すべての自然応答モードが収まり BIBO 安定だ。極が一つでも右半面にあればそのモードが発散し不安定、虚軸の上にあれば消えずに振動する臨界安定だ。これは B4 で見た a<0 安定条件を、複素極まで含めて s 平面上の位置一つに一般化したものだ。安定性は極が決め、零点は安定性を変えられない。
最初の画面に戻ると
極を虚軸の左へ引くと応答が 0 へ収まり(安定)、右へ押すと振幅が増え発散し(不安定)、虚軸の上に置くと同じ大きさで永遠に振動した(臨界)。極を実軸から上下に遠ざけるほど振動が速くなった。極の横位置(実部)が減衰率、縦位置(虚部)が振動周波数だった。システムの行動全体が s 平面上の点一つの位置に書かれていたのだ。
極と零点がシステムを描くなら、それらを束ねた関数 H(s) 自体がシステムの完全な身分証だ。次のユニット伝達関数では、システムの微分方程式をラプラス変換して H(s) = 出力/入力 を立て、その H(s) に入力の変換を掛けて出力を求める。時間領域の畳み込みが s 領域の掛け算になるのは C4 で見た通りだ。極と零点は、その H(s) の分母と分子を因数分解した位置にすぎない。