ナイキスト線図
曲線が −1 を囲むか見る
F1·F2·F3 と同じ開ループ L(jω) = K/(jω(jω+1)(jω+2)) を複素平面に描いたナイキスト線図だ。周波数 ω に沿って一点が動き金色の曲線を描く。赤い × が −1 点だ。この曲線が負の実軸を通る所が −K/6 で、位相が −180° になる ω=√2 でだ。利得 K を上げると曲線が丸ごと大きくなり、その交差点が左へ押される。交差点が −1 の右なら(K<6)−1 を囲まず安定、ちょうど −1 を通れば(K=6)臨界、左へ越えれば(K>6)−1 を囲み不安定だ。
ループを複素平面に描く
ボード線図は開ループ L(jω) の大きさと位相を周波数に沿って別々に描いた。ナイキスト線図はその二つを一つの図に合わせる。各周波数 ω で L(jω) は大きさと位相を持つ一つの複素数なので、それを複素平面の一点として打つ。ω を 0 から無限大まで(そして対称に負の ω まで)掃くと点が一つの曲線を描く。ボード線図の位相が −180° で大きさが 1 になる瞬間が、ここでは曲線がちょうど −1 点に触れる瞬間だ。だから安定のすべての問いがこの一点 −1 と曲線の関係に集まる。
−1 を囲む回数を数える
ナイキスト判定法は一つの式にまとまる。Z = N + P。ここで Z は閉ループの右半面の極の数(0 であってほしい値)、P は開ループの右半面の極の数、N は L(jω) 曲線が −1 点を時計回りに囲む回数だ。閉ループ極は 1 + L(s) = 0 の根で、L 曲線が −1 を囲むことは 1 + L 曲線が原点を囲むことと同じなので、偏角の原理でその中の根の数が数えられる。開ループが安定なら(P = 0)安定条件は単純に N = 0、すなわち −1 を一度も囲まないことだ。この例がそうだ。K < 6 なら曲線が −1 の右を通り囲まないので安定、K > 6 なら −1 を二回囲み Z = 2、右半面の極二つで不安定だ。
ナイキストがより遠くを見る所
ナイキストの力は P が 0 でない場合、すなわち開ループがすでに不安定なシステムで現れる。そうしたシステムはボード線図の単純な余裕だけでは安定性を正しく判別できないが、ナイキストは Z = N + P で正確に答える。例えば開ループに右半面の極が一つあれば(P = 1)、閉ループが安定(Z = 0)であるには曲線が −1 を反時計回りにちょうど一度囲まねばならない(N = −1)。フィードバックで不安定なプラントを安定させる D4 の状況を、ナイキストは −1 を囲む向きと回数で説明する。そして安定余裕もここで再び見える。位相余裕は曲線が単位円と交わる点から負の実軸までの角、ゲイン余裕は曲線が負の実軸と交わる点から −1 までの距離だ。結局、曲線が −1 にどれだけ近くかすめるかが頑健性を一目で語る。
最初の画面に戻ると
F1·F2·F3 と同じ開ループ L(jω) を複素平面に描き、安定性を −1 点との関係一つで見た。曲線は負の実軸を −K/6 で通った。K が 6 より小さいときはその交差点が −1 の右で、曲線が −1 を囲まず安定、K = 6 でちょうど −1 を通り臨界、K が 6 より大きいときは交差点が −1 の左へ越え −1 を二回囲み右半面の極二つで不安定だった。ラウスは係数で、根軌跡は極の道で、ボード線図は周波数余裕で、そしてナイキストは −1 を囲む回数で、同じシステムの同じ境界 K = 6 を四つ目の視線で指した。そしてナイキストだけが開ループがすでに不安定な場合まで答えられる。
ここまでラウス、根軌跡、ボード線図、ナイキストで、与えられたループが安定か、またどれだけ頑健かを分析した。すべて利得 K 一つだけを調節する比例制御だった。しかし比例だけでは定常状態誤差を 0 にすることも、過渡応答を思い通りに形作ることもできない。次のユニットPID 制御では、制御器自体に動力学を加える。積分項は誤差が残る限り蓄積し続けて定常状態誤差を消し、微分項は変化を先読みして減衰を加える。比例・積分・微分の三項の利得を調節し、これまで見てきた極と余裕を望む位置へ直接形作る設計へ入る。