インパルス応答
出力を目標応答に重ねる
赤い棒がシステムに入れるインパルスで、棒の高さがインパルスの大きさ a、棒の立つ場所が位置 t₀ です。そのインパルスがつくる出力が青い曲線で、インパルスが入った瞬間から揺れながら静まっていく形です。大きさ a と位置 t₀ を動かして出力 a·h(t − t₀) を金色の破線の目標の上にぴったり重ねると、出力も金色に変わります。
インパルス一つでシステムを叩く
幅が 0 で面積が 1 のインパルス δ(t) をシステムに一度入れたときに出てくる出力を、インパルス応答 h(t) と呼びます。鐘を一度打つとその鐘だけの響きが出るように、h(t) はそのシステムだけの反応で、だからシステムの指紋と呼ばれます。この画面の h(t) は 1.3e^(−1.1t) sin 2.6t のように揺れながら静まる信号で、インパルスが入る前は 0 なので因果的です。
大きさと位置はそのまま従う
システムが線形なので、インパルスを a 倍にすると応答も a 倍になり、時不変なので、インパルスを t₀ だけ遅らせると応答も形はそのままで t₀ だけ遅れます。二つを合わせると a·δ(t − t₀) → a·h(t − t₀) です。だから出力はいつも、同じ h の大きさと位置だけを変えた写しです。
だから任意の入力も予測できる
どんな入力も細かく刻めば、大きさの違うインパルスが時刻ごとに並んだものと見ることができ、ふるい分け性質がそう見てよいことを保証します。システムが LTI なら、各インパルスは自分の場所に自分の大きさだけの h の写しを残し、全体の出力はこれらの写しをすべて足した重ね合わせです。この足し合わせが、まさに次のユニットの畳み込みです。
最初の画面に戻ると
目標の応答に重ねるのに必要な取っ手は、大きさ a と位置 t₀ の二つだけでした。出力の形には手を出せませんでしたが、それはその形がシステムの決まった指紋 h だからです。インパルスを大きくすれば応答が大きくなり、動かせば応答が動くだけで、形はいつも h です。この一つの h が分かれば LTI システムのすることはすべて分かり、次は任意の入力をインパルスに分けてこれらの応答を足す畳み込みです。
インパルス応答は、LTI システムのすべてを収めた一つの信号です。次のユニット畳み込みの直観では、任意の入力をインパルスの列と見て、各インパルスが残した h の写しを重ねて滑らせながら足し、出力をつくります。いま見た a·h(t − t₀) の写し一つが、その和の一片です。畳み込みとは結局、このユニットの重ね合わせを連続的に行うことです。