フーリエ変換
パルスを狭めるとスペクトルが広がる
上の図は幅 T の矩形パルスで、下の図はそのフーリエ変換である sinc スペクトルです。金色の破線が合わせるべき目標のスペクトルで、パルス幅 T を動かして青い sinc を目標に重ねます。時間でパルスを狭めると周波数で sinc が広がり、目標は T = 1.4 のときの形です。
周期を限りなく伸ばすと
フーリエ級数の高調波は ω₀ = 2π/T の間隔で離れています。周期 T を大きくするとこの間隔が狭まり、T を限りなく伸ばして信号が一度だけ起きる非周期信号になると、間隔は 0 になって消えます。すると別々に立っていた線がすき間のない連続スペクトル X(ω) にまとまり、離散和 Σ が積分 ∫ に変わるこの極限がフーリエ変換です。
狭いほど広い
矩形パルスの変換は sinc 関数です。パルス幅が T なら sinc の最初の零点は ω = 2π/T に来るので、パルスを狭めるほど(T が小さくなるほど)零点は遠ざかり、主な山は広がります。短い信号ほど、多くの周波数が集まらないとその速い変化をつくれないからです。時間の幅と周波数の幅は積がほぼ一定の逆数の関係で、これが信号の不確定性原理です。図では山の高さを 1 にそろえて幅だけを比べられるようにしましたが、実際の変換の山の高さはパルスの面積 T と同じです。
変換と逆変換
分析は時間信号から周波数ごとの量を測ることで X(ω) = ∫ x(t) e^(−jωt) dt、合成はその周波数成分を集め直して時間信号をつくることで x(t) = (1/2π) ∫ X(ω) e^(+jωt) dω です。指数の符号が違うだけで二つは完全な一組なので、どちらの領域から始めても反対側へ渡れます。次のユニットでは、この変換が従う規則を集めて計算の道具にします。
最初の画面に戻ると
パルスを広げると sinc は狭まり、狭めると sinc は広がり、二つの幅の積はほぼそのままでした。時間と周波数が逆数で結ばれているからで、最初の零点はいつも ω = 2π/T にありました。一度だけ起きる非周期信号は、いくつかの高調波ではなく、すべての周波数にわたる連続スペクトルをもちます。その連続スペクトルを積分で読み書きするのがフーリエ変換で、フーリエ級数の周期を限りなく伸ばした極限です。
変換を毎回積分で求めるのは手間がかかります。次のユニットフーリエ変換の性質では、変換が従う規則、つまり線形性、時間移動が位相に与える影響、時間スケールが周波数スケールに与える逆数の効果、そして何より時間領域の畳み込みが周波数領域の掛け算になるという性質を集めます。この性質一つで LTI システムの出力の計算が掛け算に簡単になり、B 章の畳み込みと C 章の周波数がここで出会います。