1次・2次応答
減衰比を合わせて最速で整定させる
上の図は s 平面で、金色の × が二次系の二つの極、点線の半円は原点から ωn だけ離れた位置です。不足減衰では二つの極がこの半円上で実軸を離れた複素共役の対になり、応答は揺れながら追いかけます。過減衰では二つの極が実軸上で大きく離れ、応答は鈍くなります。下の図は単位ステップ応答で、点線が目標の 1 です。最初は ζ = 0.3、ωn = 1.4 なので、応答は目標を約 37% 行き過ぎます。ζ を 1 の方へ動かして二つの極が実軸上で出会う臨界減衰を見つけると、行き過ぎなしで最も速く目標に届く応答になり、ωn を上げると同じ形のまま全体が速くなります。
一次系: 時定数一つ
実軸上に極が一つだけの一次系 H(s) = 1/(τs + 1) は、極が s = −1/τ にあります。そのステップ応答 1 − e^(−t/τ) は、振動せずに目標へなめらかに上がる指数曲線です。時定数 τ は応答が最終値の約 63% に達するまでの時間で、4τ を過ぎると 98% 余りに達し、事実上整定します。極が原点に近いほど(τ が大きいほど)遅く、遠いほど速いので、極の位置一つが速さを決めていることになります。
二次系: 二つの極が決める過渡応答
標準形の二次系 H(s) = ωn²/(s² + 2ζωn s + ωn²) の極は、特性方程式 s² + 2ζωn s + ωn² = 0 の二つの根で、解くと s = −ζωn ± ωn√(ζ² − 1) です。減衰比 ζ が 1 より小さいと平方根の中が負になり、極は複素共役の対 −ζωn ± jωd となります。ここで ωd = ωn√(1 − ζ²) が実際に揺れる角周波数です。極の実部 −ζωn は振幅が収まる速さを、虚部 ωd は振動の速さを決めます。固有角周波数 ωn は原点から極までの距離で全体の速さの目安になり、ζ は極が負の実軸となす角 θ のコサイン(ζ = cos θ)なので応答の形を決めます。そのため不足減衰の極は、いつも上の図の半径 ωn の点線の半円上に乗ります。
過・臨界・不足減衰に分かれる挙動
減衰比 ζ 一つが挙動の種類を分けます。ζ > 1 の過減衰は実根が二つで行き過ぎなしにゆっくり、ζ = 1 の臨界減衰は重根で行き過ぎなしに最も速く、ζ < 1 の不足減衰は複素極で行き過ぎてから収まります。ζ = 0 では極が虚軸上に乗り、いつまでも振動します。不足減衰の行き過ぎの大きさは ζ だけで決まり、ζ = 0.7 なら約 5%、ζ = 0.3 なら約 37% です。2% 整定時間はおよそ 4/(ζωn) なので、極の実部が大きいほど速く整定します。そのため設計では ζ で行き過ぎを、ωn で速さを別々に合わせ、少しの行き過ぎを受け入れてより速く立ち上がるよう ζ を 0.7 前後に選ぶことがよくあります。
最初の画面に戻ると
最初の画面で減衰比 ζ を小さくすると、極は実軸から大きく傾いた複素共役の対となり、応答は大きく行き過ぎてから長く揺れました。ζ を 1 まで上げると二つの極が実軸上で出会い、行き過ぎなしで最も速く整定しました。ζ をさらに大きくした過減衰では極が再び分かれ、応答は鈍くなりました。ωn を上げると極が原点から遠ざかり、同じ形のまま全体が速くなりました。極が実軸から傾く角度が行き過ぎを、原点からの距離が速さを決めていたのです。応答の形と速さは、s 平面上の極の位置にそのまま書かれていました。
ここまでが連続時間の信号とシステムの話です。ラプラス変換で微分方程式を s の代数に置き換え、極の位置から応答を読み取りました。ところがコンピュータやデジタル機器は信号を連続のまま扱えず、一定の間隔で値を取り込みます。次の章の最初のユニット サンプリング定理 では、連続信号をとびとびの標本で取っても元の信号を復元できる条件を扱います。信号に含まれる最も高い周波数の二倍より速く標本を取らなければならないというナイキストの基準が、遅すぎる標本化で生じるエイリアシングとともに登場します。