1次・2次応答
減衰比を合わせて最速で整定させる
上は s 平面で、× が2次系の極だ。不足減衰なら極が実軸を外れた複素の対で応答が行き過ぎながら追い、過減衰なら極二つが実軸に遠く離れて鈍い。下はその階段応答だ。減衰比 ζ を 1 へ動かし、二つの極が実軸で出会う臨界減衰、つまり行き過ぎなしで最も速く目標に届く位置を探せ。ωn は全体の速さを上げる。
1次系: 時定数一つ
極が実軸上に一つだけの1次系 H(s)=1/(τs+1) は極が s=−1/τ にある。その階段応答は 1−e^(−t/τ) で、振動なしに目標へ滑らかに上がる指数だ。時定数 τ は最終値の約63%に届くまでの時間で、4τ ほどでほぼ整定する。極が原点に近いほど(τ が大きいほど)遅く、遠いほど速い。極の位置一つが速さを定めるのだ。
2次系: 二つの極が定める過渡
標準形2次系 H(s)=ωn²/(s²+2ζωn s+ωn²) の極は特性方程式 s²+2ζωn s+ωn²=0 の二つの根だ。解くと s=−ζωn±ωn√(ζ²−1)。減衰比 ζ が 1 より小さいと根号の中が負になり、極は複素の対 −ζωn±jωd になる。ここで ωd=ωn√(1−ζ²) が実際に振動する周波数だ。極の実部 −ζωn は振幅が収まる速さ、虚部 ωd は振動の速さを定める。固有振動数 ωn は原点から極までの距離で全体の速さの尺度、ζ は極が実軸から傾いた角度で応答の形を定める。
過・臨界・不足減衰に分かれる挙動
減衰比 ζ 一つが挙動の種類を分ける。ζ>1 の過減衰は実根二つで行き過ぎなしに遅く、ζ=1 の臨界減衰は重根で行き過ぎなしに最速、ζ<1 の不足減衰は複素極で行き過ぎてから収まる。ζ=0 なら極が虚軸の上に乗り永遠に振動する。不足減衰の行き過ぎの大きさは ζ だけで決まり、ζ が小さいほど大きい。整定時間はおよそ 4/(ζωn) で、極の実部が大きいほど速く整定する。だから設計は ζ で行き過ぎを、ωn で速さを別々に調節する。
最初の画面に戻ると
減衰比 ζ を小さくすると極が実軸から大きく傾いた複素の対で、応答が大きく行き過ぎてから長く振動し、ζ を 1 に上げると二つの極が実軸で出会い行き過ぎなしで最速で整定した。ζ をさらに上げた過減衰は極が分かれて鈍くなった。ωn を上げると極が原点から遠ざかり同じ形がまるごと速くなった。極が実軸から傾いた角度が行き過ぎを、原点から離れた距離が速さを定めた。応答の形と速さが s 平面上の極の位置にそのまま書かれていたのだ。
ここまでが連続時間の信号とシステムの話だ。ラプラス変換で微分方程式を s の代数に変え、極の位置で応答を読んだ。しかしコンピュータやデジタル機器は信号を連続では扱えず、一定間隔で値を拾っていく。次章の最初のユニットサンプリング定理では、連続信号を飛び飛びの標本で取っても元の信号を復元できる条件を見る。信号の最も高い周波数の二倍より速く標本を取らねばならないというナイキスト基準が、遅すぎると生じるエイリアシングとともに現れる。