信号の偶·奇分解
偶と奇を合わせて原信号を復元する
金色の破線が元の信号 x(t) で、真ん中が盛り上がった釣り鐘の形が右へ傾いています。タブで部分を切り替えると、左右対称な偶部分(青)だけではこの傾きを表せず、奇部分(緑)まで足してはじめて元の信号が正確によみがえります。
信号を自身の反転と重ねる
偶関数は x(−t) = x(t) を満たし縦軸に対して鏡のように対称で、奇関数は x(−t) = −x(t) を満たし原点に対して点対称です。どんな信号も自分の反転 x(−t) と足して半分にすると対称な成分だけが残り、引いて半分にすると反対称な成分だけが残ります。図の元の信号は釣り鐘形 g(t) に (1 + 0.8t) を掛けたものなので、偶部分が g(t)、奇部分が 0.8t·g(t) です。
偶足す奇は常に原信号
二つの式を足すと [x(t) + x(−t)]/2 + [x(t) − x(−t)]/2 = x(t) となり、反転の項が打ち消し合って元の信号が正確に戻ります。だからすべての信号は、偶部分と奇部分の和としてただ一通りに書けます。この分解を使うと計算が短くなることがよくあり、それは奇関数を −T から T までの対称な区間で積分すると 0 になるからです。
大きさで分ける、エネルギーか電力か
信号の大きさは二つのものさしで測ります。総エネルギー E = ∫|x(t)|² dt が有限ならエネルギー信号で、このとき平均電力は 0 です。添えた小さな図の金色のように消えていくパルスがここに入り、その面積 ∫e^(−t²) dt = √π ≈ 1.77 がエネルギーです。逆に青い曲線のような周期信号は終わりなく続くので E = ∞ ですが、平均電力 P が有限なので電力信号と呼びます。青い曲線は cos²(2.5t) なので、その平均の高さ 0.5 がまさに P です。一つの信号が両方であることはなく、増え続ける傾斜 t のように、どちらでもない信号もあります。
最初の画面に戻ると
偶部分だけでは左右対称なので、傾いた元の信号に半分しか合いませんでした。奇部分を足すと反転の項が打ち消し合い、金色の破線の元の信号が正確によみがえりました。すべての信号はこのように、対称(偶)と反対称(奇)という独立した二つの部分に、ただ一通りに分かれます。一方で信号の大きさは、消えていくならエネルギーで、続くなら電力で測るので、対称性は形を、エネルギーと電力は大きさを測る別々のものさしです。
対称性は、これから計算を減らすてこになります。フーリエ変換では、実数の偶信号は実数のスペクトルを、実数の奇信号は純虚数のスペクトルをもち、スペクトルの対称性が決まります。エネルギーと電力の区別は、時間と周波数で同じ大きさを測るパーセバルの定理へつながり、電力スペクトルの土台になります。次のユニットシステムの性質では、信号ではなく信号を変えるシステムを、線形 · 時不変 · 因果で分けます。