ブロック線図とフィードバック
フィードバックで不安定を安定に
上は負のフィードバックループだ。前向き経路のプラント H(s) = 1/(s−1) は極が右半面(+1)にあり、そのままでは発散する。下は閉ループ応答だ。フィードバック利得 k を上げ、閉ループ極 s = 1−k を虚軸の左へ越えさせ、発散していた応答を 0 へ収まらせよ。
箱をつなぐ代数
ブロック線図はシステムを伝達関数の書かれた箱で描き、信号の流れを矢印でつなぐ。二つのシステムを直列につなぐと、最初の出力が二つ目の入力になるので全体の伝達関数は二つの積 H₁H₂ だ。同じ入力を二つに分けて入れ出力を足す並列なら和 H₁+H₂ だ。複雑な信号流もこの掛け算と足し算の規則で順に一つの伝達関数へ縮められる。
フィードバックがループを閉じる
フィードバックは出力を戻して入力で引く構造だ。前向き経路 H の入力は元の入力 X からフィードバック経路 G を通った出力を引いたものなので Y = H(X − GY) だ。これを解くと Y(1 + HG) = HX、すなわち閉ループ伝達関数 T = Y/X = H/(1 + HG) が出る。分母の 1 + HG がフィードバックの作る新しい式だ。負のフィードバックなので出力が過ぎれば入力を減らし足りなければ増やし、システムが自ら目標に追従する。
フィードバックが極を移す
閉ループの極は分母 1 + HG = 0 の根だ。これは開ループ H の極を作っていた式と違うので、フィードバックは極を新しい位置へ移す。今見た不安定プラント H = 1/(s−1) に利得 k の負のフィードバックをかけると、閉ループは 1/(s − 1 + k) になり極が s = 1 − k へ移る。k を 1 より大きくすると極が左半面へ越え、システムが安定する。こうして利得で極を配置するのが制御の核心で、利得を変えて極が描く道を追うのが後に出る根軌跡だ。
最初の画面に戻ると
プラント H = 1/(s−1) は極が右半面にあり、単独では発散した。フィードバックループを閉じ利得 k を上げると、閉ループ極 s = 1−k が虚軸を越えて左半面へ移り、増えていた応答が 0 へ収まった。フィードバックは単に箱をつないだのではなく、分母を 1+HG に変え極を新しい位置へ移したのだ。こうして利得一つでシステムの極を配置し不安定を安定に変えるのがフィードバック制御の核心だ。
フィードバックで極を望む位置に置けるなら、その極の位置が作る応答の形を正確に知って初めて設計が完成する。次のユニット1次・2次応答では標準形システムの応答を見る。1次系は時定数 τ 一つで決まる単純減衰、2次系は減衰比 ζ と固有振動数 ωn で過渡が決まり、オーバーシュートや整定時間といった実務仕様が極の位置から直接読める。フィードバックで移した極がどんな応答を生むかがそこで明らかになる。