帯域幅とフィルタリング
通過帯を目標の帯に合わせる
薄い平らな線がすべての周波数を含む入力スペクトルだ。青い形がフィルタを掛けた出力で、通過帯だけが生き残る。ゴールドの点線の帯が目標だ。フィルタ種類ボタンとカットオフスライダーで通過帯をその帯にぴったり合わせよ。
フィルタリングは掛け算
C4 の畳み込み定理がフィルタリングの土台だ。システムに信号を通すのは時間領域の畳み込みだが、周波数領域では信号スペクトル X(ω) にフィルタ応答 H(ω) を点ごとに掛けることだ。H が 1 に近い通過帯の周波数成分はそのまま生き残り、H が 0 に近い遮断帯の成分は消える。だからフィルタの大きさ線図の形を見れば、どの周波数が残りどれが切られるかすぐ分かる。
帯域幅は通過帯の幅
帯域幅は通過帯がどれだけ広いか、普通は大きさが −3dB に落ちる二点間の幅で測る。低域通過なら 0 からカットオフ ωc までが帯域幅だ。帯域幅が狭いほど少ない周波数だけを選んで通し選択性が高まるが、C3 の逆数関係のため時間領域では応答が遅くなり整定が長くなる。速い信号を扱うには広い帯域幅、雑音を狭く濾し取るには狭い帯域幅が要る。二つは引き換え関係だ。
四つのフィルタ
フィルタは通過帯がどこにあるかで四つだ。低域通過は低い周波数を、高域通過は高い周波数を通し、帯域通過は真ん中の一帯だけ、帯域阻止は真ん中の一帯だけを止める。先ほど目標の帯を合わせるには、真ん中だけを通す帯域通過が答えだった。実際のフィルタは通過帯と遮断帯の間に斜めの遷移帯があり、次数が高いほどその遷移が急になり −20dB/十倍の倍数で落ちる。形が違うだけで、すべてスペクトルに掛けて欲しい周波数だけを残す同じ原理だ。
最初の画面に戻ると
目標の帯を合わせるには、真ん中だけを通す帯域通過を選び、カットオフでその帯の位置を決める必要があった。平らだった入力スペクトルにフィルタを掛けると通過帯の中の周波数だけが残り、外側は切り落とされた。生き残った帯の幅が帯域幅だった。フィルタリングは結局スペクトルにフィルタの形を掛ける一度の演算で、低域・高域・帯域・帯域阻止はその通過帯をどこに置くかの違いにすぎない。C4 の畳み込みは掛け算という性質がここで実戦道具になった。
フーリエはシステムが定常状態の正弦波をどう扱うか、すなわち ω 軸上の振る舞いを見せた。だがシステムが入った直後の過渡応答や不安定な発散は、純粋な正弦波だけでは捉えにくい。次章ラプラス変換と伝達関数では周波数 jω を複素数 s = σ + jω に広げる。σ が加わると増えたり収まったりする指数まで扱え、過渡応答と安定性が一つの平面上の極と零点の位置で一目で分かる。B4 で見た a<0 安定条件がその s 平面で再び出会う。