帯域幅とフィルタリング
通過帯を目標の帯に合わせる
薄い平らな線が、すべての周波数を均等に含む入力スペクトルで、青い形がフィルタを掛けた出力なので、通過域だけが生き残ります。金色の破線の帯が目標の 2.5 〜 5 の区間です。フィルタの種類のボタンとカットオフのスライダーで通過域をその帯にぴったり合わせればよく、この図のフィルタは通過域の中でちょうど 1、外でちょうど 0 の理想的なフィルタです。
フィルタリングは掛け算
C4 の畳み込み定理がフィルタリングの土台です。システムに信号を通すことは、時間領域では畳み込みですが、周波数領域では信号スペクトル X(ω) にフィルタ応答 H(ω) を点ごとに掛けることです。H が 1 に近い通過域の周波数成分はそのまま生き残り、H が 0 に近い阻止域の成分は消えます。だからフィルタのゲイン線図の形を見るだけで、どの周波数が残り、どの周波数が切られるかがすぐに分かります。
帯域幅は通過帯の幅
帯域幅とは通過域がどれだけ広いかのことで、ふつうは大きさが −3 dB に下がる二点の間の幅で測ります。ローパスなら 0 からカットオフ ωc までが帯域幅です。帯域幅が狭いほど少ない周波数だけを選んで通すので選択性は高まりますが、C3 の逆数の関係のために、時間領域では応答が遅くなり、落ち着くまでに長くかかります。速い信号を扱うには広い帯域幅が、雑音を狭く取り除くには狭い帯域幅が必要なので、二つはトレードオフの関係です。
四つのフィルタ
フィルタは、通過域がどこにあるかで四種類あります。ローパスは低い周波数を、ハイパスは高い周波数を通し、バンドパスは真ん中の一つの帯だけを通し、バンドストップは真ん中の一つの帯だけを止めます。さきほど目標の帯に合わせる答えは、真ん中だけを通すバンドパスでした。図のフィルタは境目で 1 と 0 の間を一気に飛ぶ理想的な形ですが、実際のフィルタには通過域と阻止域の間に斜めの遷移域があり、次数 n が高いほど遷移は −20n dB/dec で急になります。形が違うだけで、どれもスペクトルに掛けて欲しい周波数だけを残すという同じ原理です。
最初の画面に戻ると
目標の帯に合わせるには、真ん中だけを通すバンドパスを選び、カットオフでその帯の位置を決める必要がありました。平らだった入力スペクトルにフィルタを掛けると、通過域の中の周波数だけが残って外は切り落とされ、生き残った帯の幅が帯域幅でした。フィルタリングとは結局、スペクトルにフィルタの形を掛ける一回の演算で、ローパス · ハイパス · バンドパス · バンドストップは、通過域をどこに置くかの違いにすぎません。C4 の「畳み込みは掛け算」という性質が、ここで実戦の道具になりました。
フーリエの方法では、システムが定常状態の正弦波をどう扱うか、つまり ω 軸の上でのふるまいを読みました。しかしシステムを入れた直後の過渡応答や不安定な発散は、純粋な正弦波だけでは収めにくいものです。次のユニットラプラス変換では周波数 jω を複素数 s = σ + jω へ広げ、σ が加わると大きくなったり静まったりする指数もいっしょに扱えるので、過渡応答と安定性が一つの平面の上の極と零点の位置として一目で分かります。B4 で見た a < 0 の安定条件も、その s 平面で再び出会います。