seegongsik
PW-C4 · 送配電·単位法

電圧調整: 無効を操って電圧を保つ

負荷が変わると I·Z 降下のために受電端の電圧が揺れ、重い負荷では下がり、軽い負荷では上がります。それでも電圧は決められた範囲に収めなければならないので、コンデンサで無効電力を補って降下を減らすハンドルを自分でドラッグし、下がった電圧をどうやって範囲内へ引き上げるのかをつかみます。

コンデンサを増やして電圧をバンド内へ

重い負荷で受電端の電圧が規定の下限より下に下がっています(赤)。ハンドルをドラッグしてコンデンサの無効 Q_C を大きくすると、線路を流れる遅れの無効が減って X の降下が小さくなり、電圧の目印が緑の帯(0.95 〜 1.05)の中へ上がってきます。大きくしすぎると過電圧になって帯を越えます。

ハンドルを左右にドラッグしてコンデンサの量を変えます。最初はコンデンサがなく V_r = 0.88 で、Q_C が 0.175 〜 0.425 なら帯の中、負荷の無効 Q_L = 0.3 と等しくなるところでちょうど 1.000 になります。
受電端電圧(規定バンド 0.95~1.05)
V_r ≈ 0.880 pu
低電圧 · バンド下
Q_C ≈ 0.00 Q_L = 0.30

電圧は負荷につれて揺れる

受電端の電圧は、負荷電流が線路インピーダンスにつくる I·Z 降下の分だけ送電端より低くなります。そのため昼間の重い負荷では電圧がぐっと下がり、夜中の軽い負荷では降下が小さく電圧はほとんどそのままか、長距離線路なら充電電流のためにかえって送電端より高くなることもあります(フェランチ効果)。機器は決められた電圧の近くでしかきちんと動かないので、負荷がどう変わっても電圧を規定の範囲に収めなければなりません。

調相設備 · 無効で電圧を押す

降下 e ≈ I(R cosφ + X sinφ) で、高圧線は X が大きいので X sinφ の項、つまり無効電流が降下を左右します。負荷のそばにコンデンサを付けて遅れの無効を補えば、線路を流れる無効電流が減って降下が小さくなり、受電端の電圧が上がります。逆に軽い負荷で過電圧になったときは分路リアクトルで無効を吸収して電圧を引き下げ、このように無効を供給したり吸収したりして電圧を押す設備を調相設備といいます。

観察VR(%) = (Vnl − Vfl) / Vfl × 100
電圧変動率は、無負荷と全負荷の電圧の差を全負荷電圧で割った比である。
選ぶe ≈ I(R cosφ + X ?)
高圧線の降下は、X に sinφ を掛けた項が左右する。
空欄QC ↑ → Vr ?
コンデンサで無効を補えば電圧が上がる。
自分で過電圧 → リアクトルで Vr ?
軽負荷の過電圧はリアクトルで下げる。

タップ切換 · 巻数比で直接

もう一つのつまみは変圧器のタップです。巻線のタップを切り替えて巻数比を調整すれば負荷側の電圧を直接上げ下げできるので、負荷の大きい時間帯には巻数比を下げて電圧を上げ、負荷の軽い時間帯にはその逆にします。運転中に電流を止めずにタップを切り替える負荷時タップ切換器(OLTC)が広く使われます。調相設備とタップ切換をいっしょに運用して、負荷が一日中揺れても受電端の電圧を規定の範囲に保ちます。

最初の画面に戻ると

コンデンサを大きくすると赤く下がっていた受電端電圧の目印が緑の帯の中へ上がり、さらに大きくすると上へあふれて過電圧になりました。コンデンサが線路の遅れの無効を補って X sinφ の降下を減らしたからです。電圧調整とは、このように無効を供給したり吸収したりし、必要なら変圧器のタップで巻数比まで変えて、負荷がどう揺れても電圧を規定の範囲という細い帯の中にとどめておくことです。

電圧調整:負荷が変わると I·Z 降下で受電端の電圧が下がったり(重負荷)上がったり(軽負荷・フェランチ)する。電圧変動率 VR = (V_無負荷 − V_全負荷)/V_全負荷。降下は X sinφ の項が左右するので、調相設備(コンデンサ=無効供給→電圧↑、リアクトル=無効吸収→電圧↓)と 変圧器のタップ切換(巻数比の調整)で、負荷が揺れても電圧を規定の範囲(±5% など)に保つ。
次の一歩

ここまでが電気を遠くへ送る送電の側の話でした。次のユニット(PW-C5)では、その電気を需要家まで分ける 配電方式 を扱います。単相 2 線式・三相 3 線式・三相 4 線式のような結線と、一方向にだけ伸びる放射状から環でつなぐループ、いくつもの経路を組んだネットワークまで、信頼度と費用をはかりにかけて配電網をどう組むかが、セクション C を締めくくります。