電圧調整: 無効を操って電圧を保つ
コンデンサを増やして電圧をバンド内へ
重い負荷で受電端の電圧が規定の下限より下に下がっています(赤)。ハンドルをドラッグしてコンデンサの無効 Q_C を大きくすると、線路を流れる遅れの無効が減って X の降下が小さくなり、電圧の目印が緑の帯(0.95 〜 1.05)の中へ上がってきます。大きくしすぎると過電圧になって帯を越えます。
電圧は負荷につれて揺れる
受電端の電圧は、負荷電流が線路インピーダンスにつくる I·Z 降下の分だけ送電端より低くなります。そのため昼間の重い負荷では電圧がぐっと下がり、夜中の軽い負荷では降下が小さく電圧はほとんどそのままか、長距離線路なら充電電流のためにかえって送電端より高くなることもあります(フェランチ効果)。機器は決められた電圧の近くでしかきちんと動かないので、負荷がどう変わっても電圧を規定の範囲に収めなければなりません。
調相設備 · 無効で電圧を押す
降下 e ≈ I(R cosφ + X sinφ) で、高圧線は X が大きいので X sinφ の項、つまり無効電流が降下を左右します。負荷のそばにコンデンサを付けて遅れの無効を補えば、線路を流れる無効電流が減って降下が小さくなり、受電端の電圧が上がります。逆に軽い負荷で過電圧になったときは分路リアクトルで無効を吸収して電圧を引き下げ、このように無効を供給したり吸収したりして電圧を押す設備を調相設備といいます。
タップ切換 · 巻数比で直接
もう一つのつまみは変圧器のタップです。巻線のタップを切り替えて巻数比を調整すれば負荷側の電圧を直接上げ下げできるので、負荷の大きい時間帯には巻数比を下げて電圧を上げ、負荷の軽い時間帯にはその逆にします。運転中に電流を止めずにタップを切り替える負荷時タップ切換器(OLTC)が広く使われます。調相設備とタップ切換をいっしょに運用して、負荷が一日中揺れても受電端の電圧を規定の範囲に保ちます。
最初の画面に戻ると
コンデンサを大きくすると赤く下がっていた受電端電圧の目印が緑の帯の中へ上がり、さらに大きくすると上へあふれて過電圧になりました。コンデンサが線路の遅れの無効を補って X sinφ の降下を減らしたからです。電圧調整とは、このように無効を供給したり吸収したりし、必要なら変圧器のタップで巻数比まで変えて、負荷がどう揺れても電圧を規定の範囲という細い帯の中にとどめておくことです。
ここまでが電気を遠くへ送る送電の側の話でした。次のユニット(PW-C5)では、その電気を需要家まで分ける 配電方式 を扱います。単相 2 線式・三相 3 線式・三相 4 線式のような結線と、一方向にだけ伸びる放射状から環でつなぐループ、いくつもの経路を組んだネットワークまで、信頼度と費用をはかりにかけて配電網をどう組むかが、セクション C を締めくくります。