seegongsik
PW-A5 · 三相交流

不平衡入門: 和が0でないとどこへ行くか

平衡(A1)では三つの電流の和が 0 なので、中性線は空のままです。一つの相がずれるとその和が 0 から外れ、残った分が Y の中性線を通って流れます。平衡が崩れたときに電流がどこへ漏れるのかを、自分でドラッグしながらつかみます。

I_a をドラッグして平衡を崩す

三つの電流フェーザのうち I_a の先をドラッグすると大きさと向きが変わり、金色の残差の和が 0 から育ちます。この金色のベクトルこそ、Y の中性線を通って流れる電流です。

I_a の先端をドラッグして不平衡をつくります。薄い金色の破線の輪が平衡の位置で、I_b と I_c は平衡のときの位置に固定されています。
中性線電流 |I_N| = |I_a + I_b + I_c|
|I_N| ≈ 0.56 (|I_a| ≈ 1.35)
平衡の位置に置けば |I_N| = 0 で、離れるほど中性線電流が大きくなります。

平衡なら中性線は空

A1 で見たとおり、大きさが同じで 120° ずれた三つの電流は和が 0 です。そのため Y の中性点に集まった三つの電流は互いに打ち消し合って中性線には電流が流れず、平衡な系統で中性線を細くしたり省いたりできる根拠がこれです。ただし整流器や照明の安定器のような非線形負荷が流す第3高調波電流は三相で位相がそろっているので、負荷が平衡でも中性線では打ち消されず、むしろ足し合わされます。

ずれると残差が漏れ出す

一つの相の大きさや位相が変わると、三つの電流はもうきれいに打ち消し合わず、0 から外れたその残差の行き先は中性線しかありません。I_N = I_a + I_b + I_c。ドラッグした金色のベクトルがまさにこの和で、負荷が一つの相にかたよるほど中性線電流は大きくなります。

この残差に名前がある · 零相分

残差の 1/3 を零相分 I_0 = (I_a + I_b + I_c)/3 と呼ぶと、中性線電流は I_N = 3 I_0 です。平衡は I_0 = 0 という特別な場合にすぎません。Δ には中性線がないので線電流の和はいつも 0 で、相電流に生じた零相分は Δ の環の中を回る循環電流になります。不平衡を体系的に扱う道具が零相分で、後の対称座標法(D2)で正相・逆相・零相として完成します。

観察IN = Ia + Ib + Ic
中性線電流は、三つの電流の和である。
選ぶ平衡 → IN = ?
平衡なら和は 0 である(A1)。
空欄I0 = (Ia + Ib + Ic) / ?
零相分は、残差の 1/3 である。
自分でIN = ?
Δ では、相電流の零相分が環の中を回る。

最初の画面に戻ると

I_a を平衡の位置に置くと金色の残差が消え、引き離すほど残差が育ちました。その金色のベクトルこそ中性線電流 I_N = I_a + I_b + I_c = 3 I_0 です。セクション A の出発点だった A1 の和が 0 という事実は、じつは不平衡という一般的な状況の中の特別な一点でした。平衡はおのずと与えられる規則ではなく、私たちがそろえておいたつり合いです。

不平衡三相では三つの電流(または電圧)の 和が 0 にならない。その残差が Y の 中性線電流 IN = Ia + Ib + Ic = 3 I0(零相分)として流れ、平衡(A1)は I0 = 0 という特別な場合である。Δ には中性線がないので、相電流の零相分が環の中の 循環電流 になる。
次の一歩

ここでセクション A(三相交流)が終わります。次のユニット(PW-B1)からは電力そのものの形を見ます。有効・無効・皮相が直角三角形でまとまる 電力三角形 です。負荷が電圧とずれた電流を引くとき、そのずれが無効電力になり、力率 cosφ が三角形の中でどんな比なのかがひと目でわかります。不平衡で見た零相分は、後の対称座標法(D2)でふたたび出会います。