電力測定: 電力計二つで三相を読む
電流の位相を引いて二つの計器を見る
左の電流の矢印を引いて電圧との位相差φを変えよう。右の二本の棒が電力計W1, W2だ。棒は別々に動くが、その和(金色)は常に全有効電力 P = √3 V_L I_L cosφ だ。φが60°を超えるとW1が負に反転する。
なぜ三つでなく二つか
ブロンデルの定理によれば、n本の電線で伝わる電力はn−1個の電力計で完全に測れる。一本を電圧基準にすればその線の電力計は0になり外せるからだ。三相三線はn=3なので電力計二つで十分。二つの電流コイルを二線に、二つの電圧コイルをそれぞれ残る三本目の線に繋ぐ。
和は常に全有効電力
結線の幾何のため、各電力計は線間電圧と線電流の積を30°ずれた位相で見る。W1 = V_L I_L cos(30°+φ)、W2 = V_L I_L cos(30°−φ)だ。二つを足すと cos(30°+φ)+cos(30°−φ) = 2 cos30° cosφ = √3 cosφ となり、和は正確に √3 V_L I_L cosφ — A3で見た全有効電力だ。個々の値には30°とφが絡んでいても、和ではPだけが綺麗に残る。
差は無効、負は信号
二つを引くと cos(30°−φ)−cos(30°+φ) = 2 sin30° sinφ = sinφ となり、√3(W2−W1) = √3 V_L I_L sinφ = Q だ。だから二つの計器値だけで有効Pと無効Q、さらに力率まで一緒に得られる。力率が0.5より低いと30°+φが90°を超えてcosが負になり、W1の針が逆に回る。このとき電圧端子を入れ替えて読んだ値を引けば和が合う — 負は故障ではなく低力率の信号だ。
最初の画面に戻ると
電流を引いて位相φを大きくするとW1とW2が別々に動き、φが60°を超えるとW1が負に反転した。それでも二つの和(金色)は毎瞬間 √3 V_L I_L cosφ、すなわちA3の全有効電力のままだった。30°という結線の角が二つの値に入って互いの位相を補い、和では綺麗に消える。三本目の線に計器を付けずに三相電力を完全に読める理由だ。
ここでセクションB(電力·力率)が終わる。ここまでは負荷側で電力を見たが、次のセクションCではその電力が発電所から負荷まで行く道を見る。最初のユニット(PW-C1)は送電線を抵抗とリアクタンスで模型化する。電線が単なる導線ではなくインピーダンスを持つ通路だと見て、電圧降下と損失がどこで生じるかの土台を置く。