送電線モデル: 電線はインピーダンスだ
線路長を引いてインピーダンスを育てる
ハンドルを引いて線路長を変えよう。底辺は抵抗R、高さはリアクタンスX、斜辺はインピーダンス Z = R + jX だ。長いほど三つとも大きくなるが、XがRよりずっと速く伸び、斜辺が急に立つ — インピーダンス角が80°に近い。
電線は完全ではない
電流が流れる導体には抵抗Rがあり熱で電力を失う。さらに電流の周りに磁界ができて電流変化に逆らうのでインダクタンスが、導線と大地の間には静電容量が生じる。長さ80 km前後の短い線路は、このうち直列の抵抗とインダクタンスだけをまとめて一つのインピーダンス Z = R + jX として模型化する。
リアクタンスが抵抗を圧倒
高電圧の架空線は太く導電率が良いので単位長さ当たりの抵抗が小さい。ところがリアクタンスは導体の太さではなく導体間隔や配置といった幾何で決まり、相対的に大きい。だから単位長さ当たりのXはRの五~六倍に達し、インピーダンス角 θ = atan(X/R) が80°に近い。送電線を扱うとき抵抗を無視しリアクタンスだけ使う根拠だ。
長くなれば静電容量も効く
線路が長くなると導線と大地の間の静電容量が無視できなくなる。100 kmを超える中距離線路はこの並列静電容量を両端に半分ずつ付けたπ形で模型化し、数百kmの長距離はインピーダンスが線路に沿って連続に広がる分布定数で扱う。だが出発点は常に同じ — 電線はインピーダンスを持つ通路だ。
最初の画面に戻ると
長く引くほどインピーダンス三角形は育ったが、その角は常に80°付近にとどまった。角は単位長さ当たりのRとXの比が決め、長さは大きさだけを変えるからだ。高さXが底辺Rを圧倒するこの急な三角形が送電線の本質だ — 電線は導線ではなくインピーダンスを持つ通路で、電流がそのZを流れて電圧降下 Vs = Vr + I·Z をつくる。
系統には発電機·変圧器·線路のインピーダンスがそれぞれ異なる電圧階級に散らばり、オーム値のままでは変圧器を越えるたびに換算が要る。次のユニット(PW-C2)は単位法(per-unit)を見る。基準電圧·容量を定め全ての量をその基準への比に正規化すると、変圧器の両側が同じper-unitインピーダンスを持ち、系統全体が一つの綺麗な数の体系に統一される。