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PW-C1 · 送配電·単位法

送電線モデル: 電線はインピーダンスだ

送電線を抵抗のない完全な導線とみなすと、電圧降下も損失も説明できません。実際の線路は直列インピーダンス Z = R + jX で、高圧では磁界から来るリアクタンス X が抵抗 R を大きく上回ります。線路の長さを自分でドラッグしてインピーダンスがどう育つかを見て、電線が抵抗器よりリアクトルに近い理由をつかみます。

線路の長さをドラッグしてインピーダンスを大きくする

ハンドルをドラッグすると線路の長さが変わります。底辺は抵抗 R、高さはリアクタンス X、斜辺はインピーダンス Z = R + jX で、長くなるほど三つとも大きくなりますが、X が R よりずっと速く伸びて斜辺が急に立ちます。インピーダンス角は 80° に近くなります。

ハンドルをドラッグして線路の長さを 10 〜 400 km のあいだで変えます。km あたり R 0.08 Ω・X 0.45 Ω を代表値として使い、図は長さに関係なく直列の R と X だけを描きます。
線路インピーダンス(代表値基準)
|Z| ≈ 45.7 Ω θ ≈ 80°
100 km R ≈ 8.0 Ω X ≈ 45.0 Ω (X/R ≈ 5.6)

電線は完全ではない

電流が流れる導体には抵抗 R があり、熱として電力を失います。そのうえ電流のまわりに磁界ができて電流の変化に逆らうのでインダクタンスが生じ、導線と大地のあいだには静電容量が生じます。長さ 80 km 程度までの短い線路は、このうち直列の抵抗とインダクタンスだけをまとめて一つのインピーダンス Z = R + jX でモデル化します。

リアクタンスが抵抗を圧倒

高圧の架空線は太く導電率が高いので、単位長さあたりの抵抗は小さくなります。一方リアクタンスは導体の間隔と導体の半径の比の対数で決まるため、導体を太くしてもあまり減らず、相対的に大きく残ります。そのため単位長さあたりの X は R の五、六倍に達し、インピーダンス角 θ = atan(X/R) は 80° に近づくので、送電線を扱うときに抵抗を無視してリアクタンスだけを使うことが多いのです。

観察Z = R + jX
線路インピーダンスは、抵抗とリアクタンスの直列である。
選ぶ|Z| = √(R² + ?)
大きさは、二辺の二乗の和の平方根である。
空欄θ = atan(X / ?)
角は、リアクタンスを抵抗で割った値の逆正接である。
自分でVs = Vr + ?
電流がZを流れると送電端 = 受電端 + I·Z。

長くなれば静電容量も効く

線路が長くなると、導線と大地のあいだの静電容量が無視できなくなります。80 km を超えて 250 km 程度までの中距離線路は、この並列の静電容量を両端に半分ずつ付けた π 形でモデル化し、それより長い長距離線路は、インピーダンスと静電容量が線路に沿って一様に広がった分布定数として扱います。それでも出発点はいつも同じで、電線はインピーダンスをもつ通り道です。

最初の画面に戻ると

長さを伸ばすほどインピーダンスの三角形は育ちましたが、その角はいつも 80° 付近にとどまりました。角は単位長さあたりの R と X の比で決まり、長さは大きさを伸ばすだけだからです。高さ X が底辺 R を大きく上回るこの急な三角形が送電線の本当の姿で、電線はただの導線ではなくインピーダンスをもつ通り道なので、電流がその Z を流れて電圧降下 Vs = Vr + I·Z を生みます。

送電線モデル:送電線は完全な導線ではなく 直列インピーダンス Z = R + jX である。R は導体の抵抗、X は磁界(インダクタンス)から来るリアクタンスで、高圧線ではふつう X > R。|Z| = √(R²+X²)、インピーダンス角 θ = atan(X/R)。長い線路では大地との 静電容量(並列)を加えて π 形でモデル化し、電流が Z を流れて Vs = Vr + I·Z の電圧降下を生む。
次の一歩

系統には発電機・変圧器・線路のインピーダンスがそれぞれ違う電圧階級に散らばっているので、オーム値のままでは変圧器を越えるたびに換算しなければなりません。次のユニット(PW-C2)では 単位法(per-unit) を調べます。基準電圧と基準容量を決めてすべての量をその基準に対する比で表せば、変圧器の両側のインピーダンスが同じ単位法の値になり、系統全体が一つのすっきりした数の体系にまとまります。