太陽光·風力の系統連系: インバータに慣性はない
再生可能比率を引いて周波数を見る
曲線は発電脱落事故直後の系統周波数の変化だ。ハンドルを引いて再生可能比率を上げよう。同期機が減って系統慣性が小さくなると、同じ大きさの事故でも周波数がより急に下がり最低点がより深くなる。緑線の下に行くと低周波数負荷遮断が作動する。
インバータが間に立つ
同期発電機は系統に直接つながり、回転子が系統周波数と一体で回る。だが太陽光は直流を出し、風力は風につれて周波数が変わる交流を出す。そのままでは60 Hz系統につなげないので、インバータという電力電子装置が間でその出力を系統の周波数·電圧·位相に正確に合わせて合成し押し込む。インバータは系統を測って能動的に同期を取る賢い装置だが、まさにその点が慣性の不在につながる。
慣性が周波数を支える
系統の周波数は発電と負荷の均衡を映す針だ。発電が急に不足すると周波数が下がるが、その下がる速さ RoCoF = ΔP/2H は系統の慣性Hに反比例する。同期発電機の重く回る回転子は½Jω²の運動エネルギーを蓄え、事故の瞬間そのエネルギーを自動的に放って周波数がゆっくり下がるよう支える。インバータはエネルギー源(太陽·風·電池)を系統周波数から電子的に分離するので、別の制御を入れない限りこの慣性を本来出さない。
慣性が減ると何が問題か
再生可能比率が高まって同期機を押し出すほど系統慣性が減り、同じ発電脱落でも周波数がより速く(RoCoF↑)より深く(最低点↓)下がる。深すぎると低周波数負荷遮断が作動してわざと負荷を切り崩壊を防ぎ、さらに進めば広域停電につながる。対策はインバータに合成慣性(仮想慣性)制御を入れて慣性を真似させ、電池の速い周波数応答を加え、十分な同期調相機を残すことだ。再生可能転換の核心的な工学課題がまさにこの慣性不足だ。
最初の画面に戻ると
事故の大きさはそのままなのに、再生可能比率を上げるほど周波数曲線が急に下がり最低点が深くなった。変わったのは事故ではなく、その衝撃を支える回転慣性の量だった。インバータは系統に賢く同期を取るが、同期機のような重い回転子を持たず、周波数を支える慣性を出せない。再生可能への転換はクリーンなエネルギーを得る代わりに、この慣性をどう取り戻すかという宿題を残し、その宿題が次のユニットの安定度の話につながる。
慣性と周波数の話を始めたので、最後のユニット(PW-E2)で系統安定度と周波数を一つにまとめる。需給均衡が周波数を定め、慣性(一次)·ガバナ(二次)·自動発電制御(三次)が順に周波数を60 Hzへ戻す。さらにD1で見た電力角曲線の上で、事故で広がった位相角が等面積条件を超えると発電機が同期を失う過渡安定度まで — これまでの全ての断片が安定という一枚の絵に収まる。