電力三角形: 有効·無効·皮相
φを引いて三角形を変える
斜辺(皮相S)は長さが固定だ。頂点を引いて位相角φを変えよう。底辺(有効 P = S cosφ)と高さ(無効 Q = S sinφ)が一緒に変わる。φが0なら全て有効、φが大きくなると無効が育つ。
電流が揃えば全て有効
電流が電圧と同位相なら φ = 0 だ。電圧が高い瞬間に電流も大きく、電圧が0の瞬間に電流も0なので、電力 v·i は一方向だけに流れる。このとき電力はすべて有効電力 P = VI で、光·熱·回転といった実仕事になる。三角形は高さ0の横線だ。
ずれた分はやり取りだけ
電流がφだけ遅れると、電流を二成分に分ける。電圧と揃う成分が有効電力をつくり、直角にずれた成分が無効電力 Q = VI sinφ をつくる。無効成分の電力は半周期は負荷へ、半周期は電源へ流れ、実仕事は0だ。コイルとコンデンサがエネルギーを一時蓄えて返す往復がこれだ。
三つが直角三角形に束ねられる
有効Pと無効Qは直角で出会い、その斜辺が皮相電力 S = VI だ。だから S² = P² + Q² で、力率は cosφ = P/S = 底辺/斜辺 だ。電線と変圧器は斜辺Sだけ耐えねばならない — 無効が大きく力率が低いと、実際に働く有効Pは小さいのに設備は大きなSを背負う。力率が料金と設備容量を左右する理由がここにある。
最初の画面に戻ると
斜辺Sは長さが固定なのに、φを大きくするほど底辺の有効Pは減り、高さの無効Qは育った。同じ皮相でも力率が低いと、実際に働く有効電力が小さいということだ。A3で見た P = √3 V_L I_L cosφ のそのcosφこそ、この三角形の斜辺と底辺の間の角だ。電力は大きさ一つではなく、向きを持つ三つの束だ。
無効電力Qは実仕事をしないのに皮相Sを増やし設備を占有する。ならばそのQを減らせばよい。次のユニット(PW-B2)ではコンデンサで力率を改善する。コイル負荷が引く遅れ無効を、進み無効を出すコンデンサで相殺し、三角形の高さを下げ斜辺を底辺に近づける。