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PW-C2 · 送配電·単位法

単位法: 変圧器比が消える

系統には発電機・変圧器・線路のインピーダンスがいくつもの電圧階級に散らばっているので、オーム値のままでは変圧器を越えるたびに巻数比の二乗で換算しなければなりません。すべての量を基準値で割った比(per-unit)に直せばその換算が消えるので、変圧器比を自分でドラッグして、オーム値は大きく揺れるのに単位法の値はびくともしない様子を確かめます。

変圧器比をドラッグして二つを比べる

同じ負荷側のインピーダンス一つを電源側に換算します。上のバーはオーム値で巻数比 a の二乗だけ大きくなり、下のバーは単位法の値です。ハンドルをドラッグして a を変えると、オームのバーは大きく揺れますが、単位法のバーはその場からびくともしません。

ハンドルを左右にドラッグして変圧器比 a を 1 〜 10 のあいだで変えます。負荷側は 22.9 kV で 0.5 Ω、基準容量は 100 MVA なので、単位法の値は 0.5 ÷ (22.9² ÷ 100) ≈ 0.095 に決まります。
電源側に換算したインピーダンス:オーム vs 単位法
Z = 0.095 pu (per-unit不変)
a ≈ 6.7 Z' ≈ 22.4 Ω (= a² × 0.5 Ω)

基準で割った比

単位法は、電圧・電流・インピーダンス・電力をそれぞれの基準値で割った比で表します。系統全体に一つの基準容量 S_base を決め、電圧階級ごとに基準電圧 V_base を決めれば、インピーダンスの基準は Z_base = V_base²/S_base で、あるインピーダンスの単位法の値は Z_pu = Z/Z_base です。すべての量が 1 の近くのすっきりした無次元数になり、比較も計算もしやすくなります。

変圧器を越えても同じ

鍵は、基準電圧を変圧器の巻数比どおりにとることにあります。そうすれば同じ物理的インピーダンスの単位法の値が、電源側から見ても負荷側から見てもぴったり同じになります。オームでは換算のときに巻数比の二乗 a² が掛かって値が大きく変わりますが、単位法ではその a² が基準インピーダンスにも同じように掛かって約分され、消えてしまいます。ドラッグした上のバーが a² に合わせて揺れたのに、下のバーがびくともしなかったのはそのためです。

観察Zpu = Z / Zbase
単位法の値は、インピーダンスを基準インピーダンスで割った比である。
選ぶZbase = Vbase² / ?
基準インピーダンスは基準電圧の二乗を基準容量で割った値。
空欄Zpu(1) ? Zpu(2)
巻数比どおりに基準をとれば、両側の単位法の値は等しい。
自分で換算: Ω × a², pu × ?
換算すると、オームは a² 倍、単位法は 1 倍である。

だから系統が一つに統一される

変圧器比が消えるので、違う電圧階級のインピーダンスも単位法に直しさえすれば、そのまま足したり比べたりできます。発電機や変圧器の銘板にインピーダンスが % や単位法で書かれているのもそのためで、潮流計算や故障計算で電圧階級ごとにいちいち換算していた手間がなくなり、系統全体が変圧器のない一枚のインピーダンス図になります。単位法はただの表記ではなく、系統解析を可能にする言葉です。

最初の画面に戻ると

変圧器比 a をドラッグするほど上のオームのバーは a² に合わせて大きく揺れましたが、下の単位法のバーはその場からびくともしませんでした。同じ a² が換算インピーダンスと基準インピーダンスの両方に同じように掛かり、単位法では約分されて消えるからです。オームという言葉では変圧器ごとに値が跳ねますが、単位法という言葉では変圧器が見えなくなるので、系統全体を変圧器のない一枚のインピーダンス図として扱えます。

単位法(per-unit):すべての量を基準値で割った比で表す。共通の基準容量 Sbase と区域ごとの基準電圧 Vbase から Zbase = Vbase²/Sbase、Zpu = Z/Zbase。Vbase を 変圧器の巻数比 どおりにとれば、同じインピーダンスの単位法の値が 変圧器の両側で等しくなり、オームでは a² 倍開いていた差が単位法では約分されて消える。そのため系統は変圧器比のない一枚のインピーダンス図に統一される。
次の一歩

インピーダンスを単位法で統一したので、いよいよ電流がその線路インピーダンスを流れるときに何が起きるかを数で調べる番です。次のユニット(PW-C3)では 電圧降下と電力損失 を扱います。送電端と受電端の電圧の差が負荷電流と線路の Z、そして力率にどう左右されるのか、そして線路抵抗が食う I²R 損失が、同じ電力を送るとき電圧を上げるほどなぜ減るのかをたどります。