故障の種類·故障電流: シーケンス回路のつなぎ方
故障の種類を切り替えて回路のつなぎ方を読む
三つのシーケンス回路 Z_1、Z_2、Z_0 が電源 E と故障点(赤い印)の間に並んでいて、タブで故障の種類を切り替えると金色に点る回路が変わります。三相短絡は正相分だけ、地絡は三つの回路すべて、線間短絡は正相分と逆相分を通り、使わない回路の下は線が回り込んで通ります。つながったインピーダンスの和が大きいほど故障電流は小さくなり、下の金色の棒がその値を pu で表します。
三相短絡 · 平衡故障
三つの相が一度に短絡すると、故障そのものが平衡なので逆相分も零相分も生じません。正相回路だけが使われるので故障電流は I_f = E/Z_1 で、図の値では 1 ÷ 0.2 = 5.00 pu です。通るインピーダンスが正相分一つだけなので、たいてい最も大きな故障電流が流れ、そのため遮断器の遮断容量は普通この三相短絡電流を基準に決めます。最もまれですが、最も過酷な故障です。
地絡 · 零相の経路が開く
一つの相が大地に触れる地絡は、実際の系統で最も多い故障です。このときは正相·逆相·零相の三つの回路を直列につなぐので、故障電流は I = 3E/(Z_1+Z_2+Z_0) となり、図の値を入れると 3 ÷ 0.8 = 3.75 pu で三相短絡より小さくなります。流れを左右するのは零相インピーダンス Z_0 です。中性点を直接接地すれば Z_0 が小さく地絡電流は大きくなり(Z_0 が Z_1 より小さいと三相短絡電流を超えることもあります)、高抵抗接地では Z_0 が大きくなって地絡電流は減り、非接地なら Z_0 が事実上無限大なので地絡電流はほぼ 0 です(線路と大地の間の静電容量を通る小さな電流だけが流れます)。D2 で零相電流が流れるには帰り道が要ると述べた事実が、ここでそのまま現れます。
線間短絡 · 大地が絡まない
二つの相どうしが触れる線間短絡では大地が絡まないので、零相分は生じません。正相·逆相の二つの回路を故障点で並列につなぎますが、逆相回路には電源がないため、電流は Z_1 から Z_2 へ順に通ります。そのため図でも二つの箱が一列に点り、故障電流は I = √3 E/(Z_1+Z_2) になります。ふつう Z_2 は Z_1 とほぼ等しいので、線間短絡電流は三相短絡の √3/2 ≈ 0.87 倍ほどで、図の 4.33 pu も 5.00 pu の 0.87 倍です。零相が抜けるぶん地絡より単純ですが、二つの相に大きな電流が流れるので、やはり速く遮断しなければなりません。
最初の画面に戻ると
同じ三つのシーケンス回路なのに、故障の種類を変えるたびに点る回路が変わり、故障電流も 5.00、3.75、4.33 pu と変わりました。三相短絡は正相分一つだけを通るのでインピーダンスが最も小さく電流が最大になり、地絡は零相分まで直列に加わって電流が減りました。D2 で分けておいた正相·逆相·零相は、ここでは故障の種類というスイッチに応じて組み合わされる部品になったわけです。故障電流が分かったので、次はそれを検出して切り離す保護へ進みます。
故障電流が計算できたので、残るはそれをどう検出して切り離すかです。セクション D の最後のユニット(PW-D4)は保護継電と遮断を扱います。継電器が電流や電圧を測って故障を判断し、遮断器に信号を送ると、遮断器がアークを切って故障区間だけを系統から切り離します。近い故障は速く、遠い故障は遅れて切り、本当に必要な区間だけを停電させる選択性と時限協調が保護の要です。