配電方式: 信頼度を電線で買う
配電網を変えて停電範囲を見る
同じ故障一点(赤い✕)に対して配電網を変えてみよう。放射状は故障の下流が全て暗くなるが、環状は反対側から逆送電して故障区間一つだけ、ネットワークは自動迂回で誰も停電しない。明るい点が電気を受ける需要家だ。
放射状 · 単純で安い
変電所から一方向だけに枝を伸ばして需要家に届く方式だ。電線が最も少なく安く、保護協調も単純だ。だがどこか一点が故障すると、その下につながる需要家が全て停電する。負荷密度の低い農漁村や信頼度要求が大きくない所で広く使われる。
環状 · 二つ目の道を開く
放射状線路の両端をつないで輪にすると、全ての需要家に左右二方向の道ができる。平時は一点を常時開放しておき、故障時は故障区間だけ両側で切って開放点を閉じ、反対方向から電気を送る。だから停電は故障区間に閉じ込められ、大半の需要家はすぐ復旧する。電線とスイッチギアが余計に要るが信頼度が大きく上がる。都心配電の基本だ。
ネットワーク · 網で無停電
複数の変電所から複数経路で需要家を網のように結ぶ方式だ。どこか一経路が故障しても残りの経路がすぐ負荷を支え、停電がほとんどない。最も信頼度が高いが電線·保護·運用が最も複雑で高価なので、大都市中心部や病院·データセンターのような停電に耐え難い重要負荷に使う。一方、需要家引込みまでは単相2線(家庭の照明·コンセント)、三相3線(動力)、三相4線(商業ビルの単相·三相併用)に分かれて電圧を供給する。
最初の画面に戻ると
同じ一点の故障だったのに、放射状では下流の半分が暗くなり、環状では一区間だけ、ネットワークでは誰も停電しなかった。変わったのは故障ではなく、電気が回る別の道があるかだった。道を一つ開くごとに単一故障の被害は減るが、電線とスイッチギアの値が上がる。配電設計とは結局、その地域に必要な信頼度をどれだけの費用で買うかを決めることだ。
ここまで送電と配電、すなわち電気を送り分ける道を見た。次のセクションDではその道の上を電力が実際にどう流れ、何かが起きたときどう守るかを見る。最初のユニット(PW-D1)は潮流(電力の流れ)だ。各母線の電圧の大きさと位相が決まると線路ごとの有効·無効電力が従って決まり、その流れが位相差でどう押し流されるかを追う。