同期発電機の原理と誘導起電力
回転速度を2倍にすると周波数は
回転子は直流励磁でつくった N・S の磁極で、この磁石が回ると固定子の各相が受ける磁束が正弦波状に変わり、三相の起電力が誘導されます。回転子が一回転するあいだに起電力は極対数の回数だけ振動するので、速度のスライダーを上げると右側の波形が速くなります。速度を2倍にすると周波数がどうなるかを先に選んでから、スライダーで確かめます。
誘導機と正反対の構造
誘導機では固定子が回転磁界をつくり、回転子がそれを追いかけました。同期発電機はその逆で、回転子が自分で磁束をつくります。回転子巻線(界磁)に直流を流して N・S の磁極を立て、この磁石をタービンのような原動機で回すと、固定子(電機子)の三相巻線が回転磁束と鎖交して起電力が誘導されます。大きな機械は、大きな電機子電流を回る部分ではなく静止した固定子から直接取り出すために、磁束をつくる小さな界磁の側を回す回転界磁形を使います。界磁に必要な直流は、スリップリングから入れるか、回転子にいっしょに取り付けたブラシレス励磁機で供給します。
周波数が回転速度に縛られる
2極機では回転子が一回転するあいだに磁束が一度反転して起電力が一周期を描き、P 極機では一回転で P/2 周期が生じます。そのため周波数は f = PN/120 [Hz、N は rpm] で、60 Hz を出すには2極で3600、4極で1800、6極で1200 rpm で回す必要があります。発電機の回転速度がそのまま系統周波数になるので、周波数を保つには原動機の速度を調速機で精密に保ちます。水力発電機のようにゆっくり回る機械が数十の極をもつのも同じ式から出てくることで、速度と周波数がほどけないほど結ばれているため、この機械を同期機と呼びます。
起電力の大きさと励磁
一相の誘導起電力は E = 4.44 f N Φ kw です。f は周波数、N は一相の直列巻数、Φ は一極あたりの磁束、kw は巻線係数で、巻線係数は、コイルを複数のスロットに分けて巻き(分布巻)、コイル幅を極間隔より少し狭くした(短節巻)ために各コイルの起電力の位相がずれ、合計が算術和よりわずかに小さくなることを表す1より小さい数です。短節巻はこうして起電力を少し失う代わりに高調波を減らし、波形を正弦波に近づけます。磁束 Φ は界磁に流す直流の励磁電流で決まるので、励磁を強めると鉄心が飽和するまでは磁束と起電力がほぼ比例して大きくなり、速度が周波数を決めるなら、励磁は電圧の大きさを決めます。
最初の画面に戻ると
速度を2倍にすると周波数も2倍になりました。直流で励磁した回転子が一回転するたびに極対数だけ固定子の磁束が反転して起電力の周期が生じるので、周波数は f = PN/120 で回転速度に一対一で結ばれ、系統周波数を保つことは発電機の回転速度を保つことと同じです。起電力の大きさは E = 4.44 f N Φ kw で、速度が決めた周波数の上で、界磁の励磁電流が磁束 Φ を通して別に決めます。誘導機が滑りの分だけ速度を同期速度から離したとすれば、同期機は速度と周波数を一体に結びつけます。
ここまでは負荷のない無負荷の発電機でした。電機子に負荷電流が流れると、その電流がつくる磁束が界磁の磁束と合わさるので、直流機で見た電機子反作用が同期機にも現れます。ただし同期機では、その効果が力率によって界磁の磁束を弱めたり強めたりするので、これを一つの同期リアクタンスにまとめて扱います。次のユニット(MC-D2)では、電機子反作用と同期リアクタンスを使って、負荷がかかったときに端子電圧がどう変わるかを調べます。