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単語帳
MC-C5 · 始動・速度制御

誘導機の始動と速度制御

誘導機の速度は周波数で変えるのが最も広い。ただし周波数だけ触ると磁束が揺れる。周波数を下げるとき電圧をどうすれば磁束が一定かを自分で押さえる。

電圧をそのままに周波数だけ下げると磁束は

固定子の磁束は電圧を周波数で割った値に比例する。Φ ∝ V/f だ。周波数スライダーを下げてみよう。電圧をそのままにすれば磁束がどこへ向かうか、飽和の限界(赤い領域)に達するかをまず予測しよう。

周波数 ff = 1.00
スライダーで周波数を連続的に変える(電圧固定)。金の曲線 = 磁束、赤 = 飽和。
固定子磁束 Φ ∝ V/f
Φ = V/f = 1.00
磁束が半分になるには電圧を下げねばならない。電圧をそのままに周波数だけ下げると磁束は減るどころかむしろ大きくなる。Φ ∝ V/f で分母だけ減らしたからだ。
V そのまま、f を半分にすると Φ は?
ずれている

速度の三つのつまみ

回転子速度は N = (1 - s)·120f/P だ。速度を変える道はすべり s、周波数 f、極数 P の三つだけ。すべり制御(固定子電圧を下げる、巻線形に抵抗を入れる)は簡単だがすべり損が増え調整範囲が狭い。極数制御は巻線を切り替え 2:1 のように飛び飛びにしかできない。周波数制御は広く連続的で今日の可変速の主役だが、一つ条件が付く。

観察N = (1 - s) 120fP
速度はすべり・周波数・極数の三つだけで変わる。

周波数を変えれば電圧も追わねばならない

固定子電圧はほぼ誘導起電力で V ≈ 4.44 f N1 Φ だ。ここで磁束を解くと Φ ∝ V/f が出る。周波数だけ下げて電圧をそのままにすると磁束が大きくなり鉄心が飽和、励磁電流が暴走して過熱する。だから電圧を周波数に比例して下げ V/f を一定に保つ。すると磁束が一定でトルク能力も保たれる定トルク領域になる。定格周波数より上では電圧をこれ以上上げられず(電圧の限界)磁束が下がり、トルクは減るが出力は保たれる定出力(弱め磁束)領域になる。

選ぶΦ ∝ V / ?
磁束は電圧を周波数で割った値に比例する。
空欄Φ const → Vf = ?
磁束を一定に保つには V/f を一定に。

始動電流は抑え、始動トルクは生かす

停止からいきなり全電圧をかけると、すべりが1で始動電流が定格の五、六倍に跳ね上がる。Y-Δ 始動はまず巻線を Y につないで相電圧を 1/√3 に下げ、始動電流と始動トルクをともに 1/3 に減らし、速度が上がると Δ に切り替える(軽負荷用)。リアクトルや始動補償器は固定子にかかる電圧を下げて電流を減らす。巻線形は外部抵抗で比例推移を使い、始動電流を下げつつ始動トルクはむしろ大きくする。インバータ駆動は低い周波数で V/f を保ちながら滑らかに立ち上げ、始動電流を根本から抑える。

自分でI(Y)I(Δ) = ?
Y 始動は相電圧を 1/√3 に下げ電流を 1/3 にする。

最初の画面に戻ると

電圧をそのままに周波数を半分にすると磁束は2倍になり飽和へ突き進んだ。固定子電圧が V ≈ 4.44 f N1 Φ で磁束が Φ ∝ V/f だからだ。だから周波数で速度を変えるときは電圧も合わせて下げ V/f を一定に、すなわち磁束を一定に保つ。すると定格より下で定トルク、上で定出力としてトルク-速度曲線を丸ごと平行移動できる。始動も同じ筋だ。全電圧の大きな始動電流は Y-Δ で 1/3、リアクトルで電圧を下げ、巻線形抵抗で比例推移を使い、インバータで低い周波数で V/f を保って制する。回転磁界から始まった誘導機の物語が、ここで扱い方を知る機械として閉じる。

始動・速度制御:速度 N = (1 - s)·120f/P はすべり・周波数・極数だけで変わる。周波数制御が最も広いが、磁束が Φ ∝ V/f なので V/f を一定に保って磁束を一定にする(定格より下で定トルク、上で定出力)。始動の大電流は Y-Δ(電流・トルク 1/3)、リアクトル・始動補償器、巻線形抵抗(比例推移)、インバータで抑える。
Cグループを終えて

ここまでが誘導機だ。三相が回転磁界を織り(C1)、回転子がそれを追うがすべりを残し(C2)、そのすべりが R2/s 一項として等価回路に収まり(C3)、トルクがすべりの山を描き(C4)、周波数と電圧でその山を移して始動と速度を制した(C5)。次のグループDは回転子がちょうど同期速度で回る同期機だ。すべりが0のその機械がどうトルクを出し、なぜ力率まで調節するのかへ進む。