BLDC・ステッパ・サーボと電子整流
BLDC で整流子・ブラシを代わるものは
直流電動機は、回転する電機子の電流の向きを整流子とブラシがちょうどよい瞬間に切り替えてはじめて、一方向に回り続けました。BLDC は磁石を回転子に、巻線を固定子にと置き場所を入れ替えたうえで、この機械的な整流をなくしました。スライダーで回転子を回すと、その位置に合わせて固定子のコイルが一つずつ順に入りますが、整流子とブラシがしていた仕事をいま何が担っているのかがこの課の問いです。
BLDC は直流機を裏返したもの
直流電動機は、回転する電機子巻線の電流を整流子とブラシで反転させて一方向のトルクを出しました。BLDC はこの構造を裏返し、磁束をつくる永久磁石を回転子に、電流が流れる巻線を固定子に置きます。そしてホールセンサのようなセンサで回転子の位置を読み、インバータが回転子を前へ押す側の固定子巻線にだけ電流を送り、回転子が回るにつれて通電する巻線を順に切り替えます。実際の BLDC はふつう二相をいっしょに通電し、電気角 60° ごとに組み合わせを変える 6 ステップ方式ですが、図はコイルを一つだけ入れて簡単にしています。トルク‐速度特性は直流電動機に似ており、ブラシがないので摩耗や火花がなくなり、巻線が外側の固定子にあるので放熱もしやすくなります。
ステッパはパルスで位置を数える
ステッピングモータは、パルスが一つ入るたびに決まったステップ角だけ回転子が一目盛り動きます。ステップ角は一回転の 360° をステップ数で割った値で、よく使われる 1.8° のモータなら一回転が 200 ステップです。パルスの数を数えれば位置が、パルスの頻度から速度が、センサなしで(オープンループ)わかるので、プリンタや CNC のように決まった量だけ精密に動かす必要がある所で使われます。ただし負荷がモータの出せるトルクを超えると一目盛りを取りこぼして位置を失う脱調が起き、オープンループではそのずれを取り戻す手立てがありません。
サーボはフィードバックで締める
サーボモータは位置と速度をエンコーダで測ってその信号を制御器に戻し(クローズドループ)、目標と実際の誤差を 0 へ縮めます。本体にはよく BLDC や永久磁石同期電動機が使われますが、サーボの要はモータよりもフィードバック制御にあります。速い応答と高い精度が求められるロボットの関節や工作機械で使われます。三つの機械を並べると、どれも回転子の位置の情報で巻線の通電を制御する一つの家族で、BLDC は連続したトルクを、ステッピングは離散的な位置を、サーボはクローズドループの精度をねらうという点だけが違います。直流機の整流子から始まった整流という考え方が、電子回路とセンサに出会い、位置を制御する今日の機械へつながったわけです。
最初の画面に戻ると
整流子とブラシの代わりを務めたのは、位置センサとインバータでした。BLDC は直流機を裏返して磁石を回転子に、巻線を固定子に置き、回転子の位置に合わせてインバータが適切な巻線に電流を送る電子整流で、機械的な接点をなくしました。ステッピングモータは同じ位置の考え方をパルス一つごとの離散的な位置に変え、サーボはその位置をエンコーダで戻してクローズドループで抑え込みます。三つは回転子の位置で巻線の通電を制御するという一本の幹から分かれ、それぞれ連続したトルク、離散的な位置、クローズドループの精度をねらい、直流機の整流子から出発したこの科目の話は、電子回路とセンサに出会って位置を制御する今日の機械にたどり着きます。
BLDC でもサーボでも、回転子の位置に合わせて固定子巻線に適切な電流を送るインバータが心臓です。そのインバータが直流を望みの大きさと周波数の交流にどう変えるのか、つまりスイッチングと PWM の基礎が最後のユニットのテーマです。誘導機の V/f 制御も、同期機の可変速も、BLDC の電子整流も、すべて同じインバータの上で動いています(MC-E2)。