実変圧器と等価回路
励磁枝は回路のどこに置かれるか
2次を開いた無負荷でも、1次には小さな励磁電流が流れる。この電流が流れるには電源と閉じた輪を作らねばならない。励磁枝を三つの位置に置いて、無負荷電流が実際どおりに流れる場所を探そう。
磁束は100%共有されない
理想変圧器は二つのコイルが同じ磁束を完全に共有すると見るが、実際には一部の磁束が空気・油の経路へ漏れ、片方のコイルだけと鎖交する。この漏れ磁束は負荷電流に比例するので、負荷電流が通って電圧を落とす直列漏れリアクタンス X として現れる。巻線導体の抵抗 R も同じ直列位置に加わる。
鉄心を磁化するには励磁電流がいる
磁束を立てるには電流が必要で、その磁束が交番して鉄心を温めるヒステリシス・渦電流損も生じる。どちらも電圧がかかれば無負荷でも流れるので、1次端子にかかる分路として置かれる。鉄損はコンダクタンス Gc、磁化はサセプタンス Bm にまとめ、励磁アドミタンス Y0 = Gc - jBm になる。
2次を1次に換算して一つの回路に
巻数比 a で2次インピーダンスを a²Z2 に換算すると直列枝が合わさり Req = R1 + a²R2、Xeq = X1 + a²X2 になる。励磁アドミタンスは通常小さいので、入力端子へ移した近似等価回路で計算を簡単にする。直列枝は銅損と電圧降下を、分路枝は鉄損と無負荷電流を担う。
最初の画面に戻ると
無負荷電流が実際どおり流れた場所は分路だけだった。励磁枝を直列に置くと2次が開いた瞬間に輪が切れて電流は0になるが、分路に置けば電源と閉じた輪を作り、小さな励磁電流が残る。非理想性を位置で分けた結果がまさに等価回路だ。負荷電流が通る巻線抵抗・漏れリアクタンスは直列、電圧にかかり無負荷でも漏れる鉄損・磁化は分路だ。
等価回路は変圧器の性能を数値に変える装置だ。直列枝の銅損と分路枝の鉄損が効率を決め、直列インピーダンスの電圧降下が電圧変動率を決める。次のユニットはこの二つの損失から最大効率条件と電圧変動率を直接計算する(MC-A5)。同じ直列・分路の分かれ方は回転機の等価回路でもそのまま繰り返される。