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MC-A4 · 実変圧器の等価回路

実変圧器と等価回路

実際の変圧器は理想変圧器から少しずつずれます。そのずれが回路のどこに置かれるかを位置で分けると等価回路が見えてくるので、まず励磁枝が直列か分路かから押さえます。

励磁枝は回路のどこに置かれるか

二次側を開いた無負荷でも、一次側のコイルには小さな励磁電流が流れます。この電流が流れるには電源と閉じたループをつくらなければならず、タブで励磁枝を三つの位置に置いてみると、無負荷電流が実際どおりに流れる位置は一つだけです。それがどこで、なぜなのか、それがこの課の問いです。

タブで励磁枝の位置を変えます。無負荷 = 二次側開放。
無負荷(二次側開放)の一次側電流
I₁ = 0 A
励磁枝を負荷と直列に置くと、二次側を開いたとき閉じたループがなく、一次側電流は 0 になります。実際の変圧器に流れる励磁電流と正面から食い違います。
ずれている

磁束は100%共有されない

理想変圧器は二つのコイルが磁束を完全に分け合うと考えますが、実際には磁束の一部が空気や油を通る道へ漏れ、片方のコイルとだけ鎖交します。この漏れ磁束はそのコイルの電流に比例するので、負荷電流が通って電圧を下げる直列の漏れリアクタンス X として表れます。巻線の導線の抵抗 R も同じ直列の位置に加わります。

観察Z₁ = R₁ + jX₁
巻線の導線の抵抗は、負荷電流が通る直列の位置に置かれる。
選ぶX₁ → ?
漏れリアクタンスも負荷電流に比例するので直列である。

鉄心を磁化するには励磁電流がいる

磁束を立てるには電流が要り、交番する磁束が鉄心を温めるヒステリシス損と渦電流損も生じます。どちらも電圧がかかっていれば無負荷でも流れるので、一次側の端子にかかる分路として置きます。鉄損をコンダクタンス Gc、磁化をサセプタンス Bm にまとめると、励磁アドミタンス Y0 = Gc - jBm になります。励磁電流は定格電流の数パーセントにすぎず、大きな変圧器ほどさらに小さくなりますが、鉄心が飽和するため正弦波ではなく、奇数次の高調波が混じったゆがんだ形をしています。

空欄Y₀ → ?
励磁アドミタンスは電圧にかかるので分路である。

二次側を一次側に換算して一つの回路に

巻数比 a で二次側のインピーダンスを a²Z2 に換算すると直列の枝がまとまり、Req = R1 + a²R2、Xeq = X1 + a²X2 になります。励磁アドミタンスはふつう小さいので、入力端子側へ移した近似等価回路で計算を簡単にします。直列の枝は銅損と電圧降下を、分路の枝は鉄損と無負荷電流を表し、実際の値は、二次側を開いた無負荷試験で分路の枝を、二次側を短絡した短絡試験で直列の枝を別々に測って求めます。

自分でReq = R?
二次側を a² で換算して直列の枝をまとめる。

最初の画面に戻ると

無負荷電流が実際どおりに流れた位置は分路だけでした。励磁枝を直列に置くと二次側が開いた瞬間にループが切れて電流は 0 になりますが、分路に置けば電源と閉じたループをつくり、小さな励磁電流が残ります。非理想性を位置で分けた結果がまさに等価回路であり、負荷電流が通る巻線抵抗と漏れリアクタンスは直列、電圧にかかって無負荷でも流れる鉄損と磁化電流は分路です。

実際の変圧器の等価回路:理想変圧器 a:1 に、負荷電流が通る直列の枝 (R1 + a²R2) + j(X1 + a²X2) と、電圧にかかる分路の励磁枝 Y0 = Gc - jBm を付けます。直列の枝は銅損と電圧降下を、分路の枝は鉄損と無負荷電流を表します。
この等価回路をつかむと

等価回路は、変圧器の性能を数字に変える仕組みです。直列の枝の銅損と分路の枝の鉄損が効率を決め、直列インピーダンスでの電圧降下が電圧変動率を決めます。次の課では、この二つの損失から最大効率の条件と電圧変動率を直接計算します(MC-A5)。同じ直列 · 分路の分け方は、回転機の等価回路でもそのまま繰り返されます。