インダクタンスと磁気エネルギー
電流を上げると蓄積エネルギーはどれだけ育つか
グラフの青い線は鎖交磁束 λ = LI の直線で、その下の金色の三角形の面積がコイルに蓄えられた磁気エネルギーです。スライダーで電流を押すと、三角形は底辺と高さをいっしょに伸ばしながら育ちます。その下で、電流を 2 倍にしたとき面積が何倍になるかを先に選んでおき、スライダーで確かめられます。
インダクタンスは磁束鎖交の効率
インダクタンス L は単位電流が作る鎖交磁束です。L = λ/I = NΦ/I。磁気回路で解くと Φ = NI/R なので λ = NΦ = N²I/R、したがって L = N²/R です。巻数の二乗に比例するのは、巻数が磁束を作るときに一度、その磁束と鎖交するときにもう一度入るからで、磁気抵抗には反比例します。鉄心に空隙を設けると磁気抵抗が大きくなってインダクタンスは下がりますが、鉄心が飽和して L が急に落ちることは防げます。
エネルギーが二乗で育つ理由
電流をさらに di だけ立てるのに要る仕事は i·dλ = Li·di です。電流が大きいほど逆らうべき逆起電力も大きいので、同じ di でも仕事が多くかかり、0 から I まで積み上げると直線の下の三角形の面積 ½LI² になります。前の半分は、電流が 0 から I まで一様に育つ間、平均の電流が I の半分だったからです。この計算は L が一定のときの話で、鉄心が飽和して直線が曲がれば、面積もその曲線の下で測り直さなければなりません。
同じエネルギーを電流・インダクタンスで見た式
λ = LI を ½λI に入れると W = ½LI² となり、さらに I = λ/L を入れると W = ½λ²/L です。三つの式は、同じ面積を電流と鎖交磁束、インダクタンスの異なる組で書いたものにすぎません。同じ電流ならインダクタンスが大きいほど多くのエネルギーを蓄えますが、同じ鎖交磁束なら逆にインダクタンスが小さいほどエネルギーは大きくなります。そのため空隙のある鉄心では、磁気抵抗の大きい空隙のほうにエネルギーが主にたまります。
最初の画面に戻ると
電流を 2 倍にしたとき三角形の面積が 4 倍になったのは、面積が底辺(電流)と高さ(鎖交磁束 = LI)をいっしょに伸ばすからです。どちらも電流に比例するので、積は電流の二乗で育ちます。だから蓄えられるエネルギーは W = ½LI² で、前の半分は電流が 0 から I まで一様に育つ間の平均から来ています。
½LI² は回路と機器をつなぐ橋です。変圧器の漏れインダクタンス、電動機のトルク、インバーターがスイッチングで扱うエネルギーまで、すべてコイルにたまったこのエネルギーのやり取りです。次の課の理想変圧器は、二つのコイルが同じ磁束を分け合い、エネルギーをほとんど失わずに移す装置です(MC-A3)。