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単語帳
MC-A3 · 理想変圧器

理想変圧器と巻数比

二つのコイルが同じ磁束を共有すると、巻数の比が電圧をそのまま変える。巻数比を回して何が変わり何が保たれるかを押さえ、変圧器を一行で読む。

巻数比を回すと何が保たれるか

一つの磁束が二つのコイルを共に貫く。巻数比を変えると2次の電圧と電流が追従して変わる。何が変わっても変わらないかを選ぼう。

タップで巻数比(1次:2次)を切り替え。共有磁束はそのまま。
2次の電圧・電流と電力
V₂=200V · I₂=1.0A · P=200W
巻数比をどう回しても P = V₁I₁ = V₂I₂ は 200 W に固定だ。電圧を上げた倍数だけ電流が下がるからだ。
電圧を a 倍にすると電流は?
ずれている

共有磁束が電圧比を作る

同じ磁束 Φ が二つのコイルを貫くと、各コイルの誘導電圧は巻数に比例する。V = N·dΦ/dt で dΦ/dt が共通なので V₁/V₂ = N₁/N₂。ゆえに巻数比 a = N₁/N₂ がそのまま電圧比になる。

観察V₁V₂ = N₁N₂
共有磁束なので電圧は巻数に比例。

電力保存が電流比を反転させる

理想変圧器は損失がなく、入った電力がそのまま出る。V₁I₁ = V₂I₂。電圧が a 倍になれば電流は 1/a 倍にならねば積が保たれない。だから昇圧変圧器は電流を下げ、送電が高電圧・小電流で損失を減らす理由がここにある。

選ぶV₁ I₁ = ?
理想変圧器は損失0、電力が保存される。
空欄I₁I₂ = ?
電力保存から電流比は巻数比の逆数。

インピーダンスも二乗比で変わる

2次につないだ負荷 Z₂ は1次から a²Z₂ に見える。電圧は a 倍、電流は 1/a 倍なので、1次から見たインピーダンスは V₁/I₁ = (aV₂)/(I₂/a) = a²·(V₂/I₂) だからだ。変圧器は電圧・電流だけでなくインピーダンス整合の道具でもある。

自分でZ₁ = ?
電圧 a 倍・電流 1/a 倍でインピーダンスは a²。

最初の画面に戻ると

巻数比をどう回しても保たれたのは電力だった。共有磁束が電圧を巻数の比で変え、損失のない変圧器がその電圧変化を電流の逆の変化でぴたりと打ち消す。電圧を a 倍にすれば電流は 1/a 倍に下がり、積 VI = 200 W は固定される。変圧器は電力をそのままにして、電圧と電流の組だけを入れ替える装置だ。

理想変圧器:二つのコイルが同じ磁束を共有し、損失なくエネルギーを移す。巻数比 a = N₁/N₂ に対し電圧は V₁/V₂ = a、電流は I₁/I₂ = 1/a、電力は V₁I₁ = V₂I₂ で保存。2次負荷は1次から 倍のインピーダンスに見える。
この変換をつかむと

巻数比変換は電力システムの骨格だ。ただし実際の変圧器は漏れ磁束や励磁電流、鉄損・銅損でこの理想から外れる。次のユニットはその外れを等価回路に収めて効率と電圧変動率を計算する(MC-A4)。同じ共有磁束の原理は誘導機・同期機の固定子–回転子結合へも続く。