直流発電機の自己励磁と外部特性
電圧はどこで止まり、いつまったく立たないか
残留磁気が作った小さな電圧が界磁電流を流して磁束を強め、その磁束が電圧をさらに大きくします。このフィードバックは磁化曲線と界磁抵抗線(V = Rf·If)が交わる点で止まり、スライダーで界磁抵抗を上げると直線がだんだん急になって交点が下がります。直線が磁化曲線の最初の傾き(この図ではおよそ 400Ω)を超えた瞬間に電圧が立たなくなりますが、その理由がこの課の問いです。
種は残留磁気
磁極の鉄心には一度磁化された名残である残留磁束が残っているので、発電機を回すとこの残留磁束が電機子に小さな残留電圧を起こします。分巻界磁が電機子に並列につながっていれば、この電圧が界磁巻線に小さな電流を流し、その電流が磁束を強めて電圧をさらに上げます。外部電源なしに自分を立ち上げる正のフィードバックです。ただし界磁の接続が残留磁束を強める向きでなければならず、逆向きだと残留磁束まで消えて電圧が崩れます。長く休ませて残留磁気がなくなったときは、外部の直流を界磁に短く流して磁化し直す着磁でよみがえらせます。
帰還が止まる所、臨界抵抗
電圧が上がると界磁電流も増えますが、鉄心が飽和するにつれて磁化曲線が曲がり、電圧はもう比例しては上がれません。一方、界磁抵抗線 V = Rf·If はまっすぐな直線なので、フィードバックは二つの線が交わる交点で止まります。界磁抵抗を大きくして直線を立てると交点がひざより下へ下がり、直線が磁化曲線の最初の傾きより急になると交点は残留点の近くだけになって電圧が立ちません。この限界の傾きが臨界界磁抵抗です。磁化曲線は回転速度に比例して上下に伸び縮みするので、速度が低いと同じ界磁抵抗でも電圧が立たないことがあります(臨界速度)。
負荷をかけると — 励磁方式ごとの外部特性
負荷電流が流れると、端子電圧は Vt = E - IaRa として、電機子抵抗降下と電機子反作用の分だけ下がります。他励は界磁が別なので、この二つで少しだけ垂れ下がります。分巻は端子電圧が下がると界磁電流も減って磁束がさらに抜けるので、もっと急に垂れ下がります。直巻は負荷電流がそのまま界磁電流なので、はじめは電圧が上がり、飽和と反作用で折れ曲がります。複巻は直巻巻線を加えて分巻の垂れ下がりを埋め、負荷に対してほぼ平らに(平複巻)したり、少し上がるように(過複巻)合わせたりできます。
最初の画面に戻ると
電圧が立たなかったのは、界磁抵抗線が磁化曲線の最初の傾きより急で、二つが残留点の近くでしか交わらなかったときでした。残留磁気を種に正のフィードバックが回りますが、そのフィードバックは飽和で曲がった磁化曲線とまっすぐな界磁抵抗線の交点で止まります。界磁抵抗が臨界値より小さいときだけ、交点がひざの上の高いところにできて電圧が確立されます。こうして立ち上げた電圧は負荷をかけると Vt = E - IaRa として下がり、他励は少し、分巻はもっと大きく、直巻と複巻はそれぞれ違う形で変わります。発電機の電圧は、最初に立ち上げることも負荷のもとで保つことも、どちらも磁化曲線の上で読み取れます。
ここまでが直流機だ。整流子が交流を直流に裏返し(B1)、電機子反作用が中性軸を押し(B2)、逆起電力が電動機の速度とトルクを定め(B3)、自己励磁が発電機の電圧を立てた(B4)。すべて一つの磁気回路の上で回る一台の機械だった。次のグループCは回転そのものを磁場から作る誘導機だ。三相電流がどう回転する磁場を織るか、その回転磁界から始める。