直流機と整流子
外部で直流を得るにはいつ接続を変えるべきか
コイルの中の起電力は、半回転ごとに符号が反転する交流です。タブでブラシがコイルとの接続を入れ替える時点を三つの中から選ぶと、上の波形が外部端子に現れる電圧に変わりますが、どの時点で外部端子が一方向の電圧だけを見るのか、それがこの課の問いです。
回転導体の起電力は交流
磁場の中でコイルが回ると、鎖交磁束が回転角に応じて変わり、誘導起電力は e = -dΦ/dt です。導体が磁力線をいちばん速く横切るとき起電力は最大で、磁力線と平行に動くとき 0 です。半回転すると導体の動く向きが磁場に対して反転し、起電力の符号も反転するので、コイルの中の起電力は本来交流です。整流子の代わりに二つのスリップリングで取り出せばこの交流がそのまま出てきて、それが交流発電機です。
整流子がゼロ交差で接続を裏返す
整流子は二つに割った輪で、コイルといっしょに回ります。固定されたブラシは、コイルの面が磁場に垂直になって鎖交磁束が最大になり、起電力が 0 になる瞬間に次のかけらへ移り、まさにそのとき外部との接続が入れ替わります。コイルの起電力が負に向かっても接続がすでに反転しているので、外部端子はいつも同じ極性を見ます。起電力が 0 の瞬間に切り替えるので火花も小さく、そのためブラシはこの位置、つまり中性軸に合わせて置きます。最近はブラシと整流子の代わりに、回転子の位置を測るセンサーと半導体スイッチで同じ切り替えを行うブラシレスモーターも多くなっています。
導体を増やせば滑らかな直流と大きな起電力
コイル一つでは |sin θ| の形で大きく脈動します。スロットと整流子片を増やして多くのコイルを重ねると、それぞれ位相の違う脈動が足し合わされてほとんど平らな直流になり、平均の起電力も大きくなります。まとめると、平均の誘導起電力は E = (P Φ Z N) / (60 a) です。ここで P は極数、Φ は一極あたりの磁束、Z は全導体数、N は毎分の回転数、a は並列回路数です。
最初の画面に戻ると
外部が一方向の電圧だけを見たのは、ゼロ交差で接続を切り替えたときだけでした。切り替えなければ交流がそのまま出て、見当違いのときに切り替えると負にへこみました。整流子の要は、起電力が 0 になるまさにその瞬間に外部の接続を反転させるタイミングで、そうすればコイルが負に向かっても外部は正を保ち、交流の起電力が脈動する直流に変わります。直流機は、回転で作った交流を機械的に整流する装置です。
整流子は直流機の心臓です。同じ機械を逆に使えば、外部の直流が整流子を通ってコイルに入り、一方向のトルクを生む直流電動機になります。ただし電機子電流が作る磁束が主磁束をゆがめてゼロ交差をずらし、次の課の電機子反作用がまさにその問題です(MC-B2)。そこでゼロ交差がどうずれ、どう補正するのかを見ます。