スカラー場とベクトル場
同じ空間の点に何を付けるか
空間に等間隔に並んだ点をドラッグで見回しながらタブを切り替えると、同じ点に何を付けるかで場の種類が変わります。何もない点から始まり、数を明るさで表した金色の光、そして矢印へと変わっていきます。
スカラー場 — 点ごとに数一つ
スカラー場は、空間の各点に数を一つ対応させます。部屋の温度 T(x, y, z)、山の高度 h(x, y)、電荷のまわりの電位 V は、どれもスカラー場です。値に大きさだけがあって向きがないので、座標軸をどう回してもその点の数は変わりません。
ベクトル場 — 点ごとに矢印
ベクトル場は、各点に矢印を対応させます。矢印には大きさと向きが一緒に入っています。流れる空気の速度 v や、電荷がつくる電場 E がその例です。一点の矢印は、座標軸方向の三つの成分 (E_x, E_y, E_z) に分けて書けます。ただし成分は軸を決めて初めて値が決まる数なので、軸を回すと変わりますが、矢印そのものは変わりません。
大きさと向きへまとめ直す
矢印の長さが大きさで、三つの成分をそれぞれ二乗して足し、平方根をとって求めます。向きは、同じ矢印を長さ 1 に縮めた単位ベクトルとして別に取り出します。成分が三つあっても、矢印は一点に一本、向きをもつひとかたまりです。
スカラーかベクトルか
温度、質量、電位、電位差はスカラーで、速度、力、電場、磁場はベクトルです。見分ける手軽な方法は、その量に「どちら向き?」と尋ねることです。問いが意味をもてばベクトル、もたなければスカラーです。より確かな基準は、矢印のように足し合わされるかどうかです。導線の電流には流れる向きがありますが、分かれ道ではそのまま足し算されるのでスカラーで、それに対応するベクトルは単位面積あたりの電流である電流密度です。電場は向きまで言って初めて書き切れ(EM-03)、電位は向きのない値一つです(EM-08)。
最初の画面に戻ると
最初の画面で、何もない点がまず数で、次に矢印で満たされました。数で満たせばスカラー場、矢印で満たせばベクトル場で、二つは同じ空間を違う量で読んだものです。矢印は座標軸をどう回しても同じところを指します。だから、ベクトル場を三つの成分に分けて書いても、その本質は向きをもつひとかたまりのままです。
スカラー場とベクトル場の表記は、あらゆる場の理論の語彙です。この表記を身につけると、次のユニットが解けるようになります。電場 E(EM-03)はベクトル場として、電位 V(EM-08)はスカラー場としてそのまま読め、電束と発散(EM-05)、ガウスの法則(EM-06)も、すべてこのベクトル場の上で定義されます。