波動方程式と平面波
平面波が走る様子を見る
何もない空間を走る電磁波を横から見た図です。水色の線が上下に揺れる電場、金色の線が前後に揺れる磁場で、二つの場は互いに垂直なまま、同じ拍子でそろって最大になり、そろって 0 になります。スライダーで波長を伸ばしたり縮めたりすると振動数がその分変わって積はいつも同じになり、波が進む速さもそのままです。二つの場がなぜ同じ位相で動くのか、それがこの課の問いです。
空っぽの空間の二つの回転式
電荷も電流もない空間、つまり ρ = 0, J = 0 のところでは、マクスウェル方程式のうち二つの回転の式だけが残ります。ファラデーの法則 ∇×E = -∂B/∂t と、アンペール–マクスウェルの法則 ∇×B = μ₀ε₀∂E/∂t です。変化する電場が磁場を作り、その磁場が変化してまた電場を作るので、二つの場は互いを引き継ぐ関係にあります。わき出し口のないところでも場がこうして自らつながっていけるのか、つながるならどんな形で広がるのかを、このかみ合わせを解いて確かめます。
波動方程式が出る
一方の回転の式にもう一度回転をとり、もう一方の式を代入すると、電場だけでできた式 ∇²E = μ₀ε₀ ∂²E/∂t² が得られます。磁場もまったく同じ形に従い、これが波動方程式です。場の空間での曲がり具合が時間についての加速度に比例するという意味で、揺れがその場にとどまらず、形を保ったまま横へ移っていく波の式です。張った弦を伝わる振動や空気中の音も同じ形の式に従い、違うのは何が揺れるかとその速さだけです。
速さは光の速さ
波動方程式 ∂²/∂x² = (1/v²)∂²/∂t² で、v はその波の速さです。電磁波の式と突き合わせると 1/v² = μ₀ε₀、つまり v = 1/√(μ₀ε₀) です。ここに二つの定数の測定値を入れると、およそ 3×10⁸ m/s になります。マクスウェルが当時の電気の測定値からこの値を計算すると、別に測られていた光の速さと測定誤差の範囲で一致しました。電気と磁気だけで組み立てた式から光の速さが出てきたのであり、そこから光は電磁波だという結論に至りました。真空ではこの速さは波長によらず同じですが、ガラスや水の中では波長ごとに速さがわずかに異なり、プリズムが白い光をいくつもの色に分けるのはそのためです。
平面波、横波で同じ位相
波動方程式のいちばん簡単な解が平面波 E = E₀ cos(kx - ωt) で、一方向に進む正弦波です。磁場も同じ形で、大きさは B = E/c です。ここから三つのことが読み取れます。第一に、E と B は進む向きに垂直に揺れる横波です。第二に、E と B は互いに垂直です。第三に、二つは同じ位相なのでそろって最大になり、そろって 0 になります。ファラデーの式が一方の空間的な傾きをもう一方の時間変化に結びつけるからです。E × B はいつも進む向きを指します。図では二つの場を同じ長さで描いていますが、SI 単位では B は E を c で割った値なので数としてはずっと小さく、それでも二つの場が運ぶエネルギーはちょうど半分ずつです。
最初の画面に戻ると
最初の画面で、電場(上下)と磁場(前後)は互いに垂直なまま、同じ拍子でそろって揺れていました。波長を伸ばしても縮めても波はいつも同じ速さで進み、これが波動方程式の言っていることです。二つの回転の式がかみ合って ∇²E = μ₀ε₀∂²E/∂t² となり、真空でのその速さは波長によらず c = 1/√(μ₀ε₀) です。E と B が同じ位相なのは、ファラデーの式が一方の空間的な傾きをもう一方の時間変化に結びつけるからです。いまこの画面を照らしている光も、まさにこの波です。
この平面波で E × B は進む向きを指すだけでなく、エネルギーが流れる向きでもあります。次の課(EM-24)では、そのエネルギーの流れを測るポインティングベクトル S = E × B / μ₀ を見て、電場がどの向きに揺れるかで決まる偏波を扱います。光が何を運び、どう振動するのかに入っていきます。