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EM-22 · 時変界の総合

マクスウェル方程式

これまでに学んだ四つの法則が一か所に集まります。二つの発散の式は場がどこからわき出るかを(電荷はあるが磁気単極子はない)、二つの回転の式は変化する電場と磁場が互いを生み出す輪を表します。この閉じた体系の中から電磁波、つまり光が出てくることを確かめます。

四つの方程式を一つずつ見る

四つのボタンが、マクスウェル方程式を一つずつ図にして表示します。二つは発散(∇·)で場がわき出るところを、二つは回転(∇×)で場が回る様子を描きます。赤い点電荷から水色の矢印が伸びていく図と、棒磁石を包む金色の輪がいつも閉じている図を見比べると、違いがよく分かります。表示欄には選んだ式の積分形と微分形が並んで出ます。四つの式が電気と磁気をどう一つに結ぶのか、それがこの課の問いです。

マクスウェル方程式
ドラッグで視点が回り、ボタンで方程式を選びます。
選んだ方程式
ガウスの法則
積分形∮E·dA = Q/ε₀
微分形∇·E = ρ/ε₀
電場は電荷からわき出る。発散は電荷密度を ε₀ で割った値である。

四つの方程式が一堂に

電気と磁気について別々に積み上げてきた内容が、すべて四つの方程式に集まります。ガウスの法則(∇·E = ρ/ε₀, EM-06)は電場が電荷からわき出ることを、磁気のガウスの法則(∇·B = 0)は磁場にはわき出しがないことを表します。ファラデーの法則(∇×E = -∂B/∂t, EM-20)は変化する磁場が電場を作ることを、変位電流で完成したアンペールの法則(∇×B = μ₀J + μ₀ε₀∂E/∂t, EM-21)は電流と変化する電場が磁場を作ることを表します。新しく加わる法則はなく、すでに学んだ四つを一か所に集めただけです。ただし今の四行の形はマクスウェルが最初に書いたものそのままではなく、彼が成分ごとに並べた二十ほどの式を、後にヘヴィサイドがベクトル記号でまとめ直したものです。ここに電荷が場から受けるローレンツ力を加えると、古典電磁気学の全体になります。

観察∇·E = ρε₀
電場は電荷からわき出る。
選ぶ∇·B = ?
磁場にはわき出しがなく、単極子もない。

二つの発散と二つの回転

四つの式は二種類に分かれます。二つの発散は場がどこからわき出るかを、二つの回転は場がどう回るかを表します。発散を見ると、電場には電荷というわき出し口がありますが(∇·E = ρ/ε₀)、磁場にはありません(∇·B = 0)。磁気単極子がこれまで一度も見つかっていないからで、そのため磁力線は始まりも終わりもなく、いつも閉じた輪になります。棒磁石をどれほど細かく切っても、かけらごとに N 極と S 極がそろって現れるのも同じ事実です。二つの回転は電場と磁場を時間で結ぶ対で、一方が変化すると、そのまわりをもう一方が回ります。

対称とその破れ

四つの式の中で、電場と磁場はほとんど鏡のように向き合っています。変化する磁場が電場を作り(ファラデー)、変化する電場が磁場を作ります(アンペール–マクスウェル)。しかし対称は完全ではなく、電荷はあっても磁気単極子はなく、二つの回転の式の符号も食い違っています。ファラデーの側は負、アンペール–マクスウェルの側は正です。この符号の違いのおかげで、二つの回転の式を組み合わせると二つの場が交互にやり取りしながら揺れる波の式が出てきます。符号が同じだったら、揺れることなく一方的に膨らむか消えていく解しか残りません。また、電荷のない空間では、単位をそろえて電場と磁場を入れ替え、片方に負の符号を付けても四つの式はそのまま成り立ちますが、この入れ替えが通用するのも符号が食い違っているからです。アンペール–マクスウェルの式の発散をとってガウスの法則と合わせると、電荷は生まれも消えもしないという電荷保存がひとりでに出てくるのも、四つの式がかみ合っている証拠です。

空欄∇×E = ?
変化する磁場のまわりに電場が回る。
自分で∇×B = μ₀J + ?
電流と変化する電場のまわりに磁場が回る。

方程式に潜む波

電荷も電流もない空間(ρ = 0, J = 0)では、変化する電場が磁場を作り、その磁場が変化してまた電場を作ります。二つの回転の式をかみ合わせると、電場と磁場が互いを引き継ぎながら広がっていく波動方程式になり、その速さ c = 1/√(μ₀ε₀) は二つの定数だけで決まります。マクスウェルがこの値を計算すると当時測られていた光の速さと一致し、光は電磁波だという結論がここから生まれました。これを実験で確かめたのはマクスウェルの死後で、ヘルツが火花間隙で電波を作り、受け取ってみせました。次の課では、この波を式から直接取り出します。

最初の画面に戻ると

最初の画面で四つのボタンを使って見た方程式は、ばらばらの法則ではありませんでした。二つの発散は電場と磁場がわき出るところを(電荷はあり単極子はない)、二つの回転は二つの場を時間で結ぶ輪を描きました。変化する一方の場が他方を生み、それがまた最初の場を生むので、四つの式は閉じた一つの体系をなします。だから一か所の小さな揺れが自らを引き継ぎながら空間を走っていけるのであり、それが光です。

マクスウェル方程式は電磁気学全体を支える四つの式です。ガウス ∇·E = ρ/ε₀、磁気のガウス ∇·B = 0、ファラデー ∇×E = -∂B/∂t、アンペール–マクスウェル ∇×B = μ₀J + μ₀ε₀∂E/∂t。二つの発散は場がわき出るところを、二つの回転は変化する電場と磁場が互いを生み出す輪を表します。この閉じた体系から電磁波、つまり光が出てきます。c = 1/√(μ₀ε₀)。
次へ続く道

次の課(EM-23)では、何もない空間で二つの回転の式をかみ合わせて、波動方程式を直接取り出します。電場と磁場が互いに垂直で、進む向きとも垂直な平面波が c = 1/√(μ₀ε₀) の速さで走る様子を見ることになり、マクスウェル方程式にひそんでいた光が姿を現します。