磁気力とローレンツ力
速度の角を変えて力を見る
均一な磁場の中で電荷の速度の向きを回してみよう。速度が磁場と平行なとき力はどれだけか。垂直なときはどうか。力はどちらを向くか。
場が力を及ぼす
EM-13 と EM-14 は電流が磁場を作る側だった。今度は逆だ。磁場はその中を通る電荷に力を及ぼす。ただし静止した電荷は磁気力を受けない。電荷が動くときだけ、その速度に応じて力が生じる。これが磁気力だ。電気力が電荷の量に働いたなら、磁気力は電荷の動きに働く。
外積、三つの直角
磁気力は外積で書く。F = qv × B。だから力は速度 v にも磁場 B にも垂直だ。三つのベクトルが互いに直角をなす。大きさは F = qvB sinθ で、θ は速度と磁場のなす角だ。速度が磁場と平行なら(θ=0)sinθ=0 で力はなく、垂直のとき(θ=90°)最も強い。向きは右手の法則で決まる。v から B へ指を巻くと親指が正電荷の受ける力の向きだ。
仕事をしない
磁気力の最も不思議な点は、仕事をしないことだ。仕事は力と変位(速度の向き)の内積だが、磁気力は常に速度に垂直なので、その内積は 0 だ。だから磁気力は電荷の速さを決して変えられない。運動エネルギーはそのままだ。磁気力にできるのは向きを曲げることだけだ。加速器で磁石が粒子の進路を曲げても加速はできない理由、電気で仕事をするには電場が要る理由がここにある。
円運動、ローレンツ、電流
速度が磁場に垂直なら、力が常に速度に直角なので電荷は一定の速さで円を描く。この力が向心力となり半径 r = mv/(qB) が決まる。磁場が強いほど円は小さくなる。速度に磁場と平行な成分があると、その向きには力がなくそのまま進むので、全体の軌跡はらせんになる。電気力と磁気力を合わせるとローレンツ力 F = q(E + v × B) だ。電流は動く電荷の集まりなので、磁場中の導線が受ける力は F = IL × B だ。
最初の画面に戻ると
最初の画面で速度を磁場と平行にすると力は 0 に消え、垂直に回すと最も大きくなった。大きさは sinθ に従った。そして力は常に速度と磁場が作る平面から抜け出し、両方に直角な向きを指した。外積 v × B の結果だ。この力は速度に垂直なので速さを変えられず、向きだけを曲げる。だから磁場中の電荷は円やらせんを描く。F = qv × B。
アンペールの法則(EM-14)は積分形 ∮B·dl = μ₀I だった。次のユニットの回転(カール)とストークスの定理(EM-16)は、このループ積分を一点での微分形 ∇ × B = μ₀J に変える。発散定理(EM-07)がガウスの法則にしたことを、ストークスの定理がアンペールの法則にする。回転は、場が一点でどれだけ渦巻くかを測る道具だ。