インピーダンス整合
変成器を合わせて反射を消す
特性インピーダンス Z₀ = 50Ω の線が負荷 Z_L = 100Ω につながっていて、そのままでは反射が生じる。二つの間に四分の一波長の変成器を挟み、そのインピーダンス Z₁ を調節してみよ。Z₁ がちょうどよい値のとき、入力から見たインピーダンス Z_in = Z₁²/Z_L が正確に 50Ω になり、本線の定在波が消えて滑らかになる。そのちょうどよい Z₁ がいくつかを探せ。
なぜ整合するのか
負荷が特性インピーダンスとずれると、送った電力の一部が反射して送信機へ戻る。その分だけ負荷に届く電力が減り、戻った電力は送信機を温めたり信号を歪めたりする。さらに、電源と負荷が整合してこそ最大電力が伝わるのは回路理論の基本だ。だからアンテナ、増幅器、ケーブルをつなぐすべての高周波設計の最後の段階は、負荷が Z₀ のように見えるようインピーダンスを合わせること、すなわち整合だ。
λ/4 変成器
最も簡潔な整合の道具は、四分の一波長の長さの線一切れだ。長さがちょうど λ/4 の伝送線路は、端についたインピーダンスを逆さに映す不思議な性質を持つ。入力から見たインピーダンスが Z_in = Z₁²/Z_L になるのだ。ここで Z₁ はその切れの特性インピーダンスだ。入力が Z₀ になるよう Z₁²/Z_L = Z₀ を解くと Z₁ = √(Z₀ Z_L)、すなわち Z₀ と Z_L の幾何平均だ。50Ω の線を 100Ω の負荷に合わせるには √(50·100) ≈ 70.7Ω の切れを挟めばよい。ただし実数の負荷によく合い、一つの周波数でだけ正確だ。
スタブ整合
負荷が複素数でリアクタンスが混じっていると、変成器だけでは足りない。そのときはスタブを使う。スタブは本線のある地点に枝のように付けた、端が開放または短絡の短い線の切れだ。その端から反射したインピーダンスは純粋なリアクタンスなので、長さを合わせれば負荷が作るリアクタンスをちょうど相殺する。適切な位置に適切な長さのスタブを一つまたは二つ付けて、負荷の複素インピーダンスを Z₀ へ引き寄せる。部品を足さず線の切れだけで整合できるのが高周波での利点だ。
整合が成し遂げること
整合が終わると、入力から見た反射係数が Γ = 0、定在波比が SWR = 1 になる。本線には定在波がなく進行波だけが流れ、送った電力が余さず負荷に届く。スミスチャート(EM-27)の言葉で言えば、整合とは負荷の点をチャートの真ん中へ移すことだ。λ/4 変成器は点を実軸に沿ってまっすぐ中心へ引き寄せ、スタブはリアクタンス弧に沿って点を動かして中心に合わせる。どの道を行っても目的地は同じだ。反射のない一点、整合点だ。
最初の画面に戻ると
最初の画面で変成器のインピーダンス Z₁ を動かすと、ちょうどよい値で本線の定在波が消え、波が滑らかに流れた。その値が Z₁ = √(Z₀ Z_L) ≈ 70.7Ω、すなわち 50Ω と 100Ω の幾何平均だった。そのとき入力から見たインピーダンス Z_in = Z₁²/Z_L が正確に 50Ω になり、反射係数が 0 になった。整合とはずれた負荷を Z₀ のように見せることで、λ/4 変成器はそれを一切れの線でやってのける。反射が 0 なら、送った電力がそっくり負荷に届く。
座標系の微小要素(EM-01)から始め、電場と磁場、ガウスとアンペール、ファラデーと変位電流を経てマクスウェル方程式に至り、その方程式から光が湧き出るのを見た。光は境界で反射・屈折し、伝送線路に閉じ込められて信号になり、スミスチャート上の一点になり、ついに整合によってそっくり伝わる。一つの点電荷から整合されたアンテナ給電線まで、電磁気学の一筋の道を最後まで歩いた。