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EM-28 · 伝送線路

インピーダンス整合

負荷が特性インピーダンスとずれていると、電力の一部が反射してむだになる。インピーダンス整合は負荷が Z₀ のように見えるように変えて反射を 0 にすることで、そのいちばんすっきりした方法が λ/4 変成器である。負荷と線路の間にインピーダンス √(Z₀ Z_L) の 4 分の 1 波長の線を挟むと、入力から見たインピーダンスがちょうど Z₀ になることを確かめる。

変成器を合わせて反射を消す

特性インピーダンス Z₀ = 50Ω の線路が負荷 Z_L = 100Ω につながっていて、そのままでは反射が起こる。二つの間に 4 分の 1 波長の変成器を挟み、スライダーでそのインピーダンス Z₁ を変えると、ちょうどよい値で入力から見たインピーダンス Z_in = Z₁²/Z_L が 50Ω に合い、本線の定在波が消えて負荷が緑に変わる。スライダーは整数の目盛りで動くので、その値にいちばん近い目盛りで反射がほぼ消える。そのちょうどよい Z₁ がどう決まるのか、それがこの課の問いである。

変成器インピーダンス Z₁Z₁ = 50Ω
ドラッグで視点が回り、スライダーで変成器のインピーダンス Z₁ を変える。
変成器と入力インピーダンス
Z_in = Z₁²/Z_L · λ/4 変成器がインピーダンスを変える
Z₁ = √(Z₀ Z_L) のとき Z_in = Z₀、反射 0
変成器 Z₁ 50Ω · 入力 Z_in 25Ω · 目標 √(Z₀Z_L) 70.7Ω · 反射 |Γ| 0.33
不整合 · 反射大

なぜ整合するのか

負荷が特性インピーダンスとずれていると、送った電力の一部が反射して送信機へ戻ってくる。その分だけ負荷に届く電力が減り、戻ってきた電力は送信機を熱したり信号をゆがめたりする。回路理論にも、負荷が電源の内部インピーダンスの共役に等しいとき負荷の受け取る電力が最大になるという最大電力伝送の定理があるが、このとき効率は半分なので、効率が大事な電力網ではこのように合わせない。高周波では小さな信号を余さず運ぶことが大切なので、アンテナや増幅器、ケーブルをつなぐ高周波設計の最後の段階は、負荷が Z₀ のように見えるようにインピーダンスを合わせる整合である。

λ/4 変成器

いちばんすっきりした整合の道具は、4 分の 1 波長の長さの線路ひと切れである。長さがちょうど λ/4 の伝送線路には端につないだインピーダンスを反転して見せる性質があり、入力から見たインピーダンスは Z_in = Z₁²/Z_L になる。ここで Z₁ はそのひと切れの特性インピーダンスである。入力が Z₀ になるように Z₁²/Z_L = Z₀ を解くと Z₁ = √(Z₀ Z_L)、つまり Z₀ と Z_L の幾何平均が得られる。50Ω の線路を 100Ω の負荷に合わせるには √(50·100) ≈ 70.7Ω のひと切れを挟めばよく、このときひと切れの両端で生じる二つの反射が往復で半波長ずれて打ち消し合う。ただし実数の負荷にうまく合い、長さがちょうど合う一つの周波数でしか正確ではない。

観察Zin = Z₁²ZL
λ/4 変成器は端のインピーダンスを反転して見せる。
選ぶZin = ?
整合とは入力インピーダンスを Z₀ にすることである。
空欄Z₁ = ?
変成器インピーダンスは Z₀ と ZL の幾何平均だ。

スタブ整合

負荷が複素数でリアクタンスが混じっていると、変成器だけでは足りないので、スタブを使う。スタブは本線の一点に枝のように付けた短い線路のひと切れで、端を開放するか短絡しておく。その端から返ってくるインピーダンスは純粋なリアクタンスなので、長さを選べば必要な大きさのリアクタンスを作れる。まず本線上でアドミタンスの実部が Z₀ の逆数に等しくなる点を探し、そこに残ったサセプタンスを打ち消す長さのスタブを並列に付けると、負荷の複素インピーダンスが Z₀ へ引き寄せられる。部品を足さずに線路のひと切れだけで整合できることが、高周波での利点である。

整合が成し遂げること

整合が終わると、入力から見た反射係数は Γ = 0、定在波比は SWR = 1 になる。本線には定在波がなく進行波だけが流れ、送った電力が余さず負荷に届く。スミスチャート(EM-27)の言葉でいえば、整合とは負荷の点をチャートの真ん中へ移すことである。λ/4 変成器は実軸上の負荷の点を、実軸と二回交わる円の半分に沿って回して中心に下ろし、スタブはリアクタンス弧に沿って点を動かして中心に合わせる。どの道を通っても、行き先は反射のない一点、整合点である。

自分でΓ = 0 ⇒ SWR = ?
整合すると定在波が消える。

最初の画面に戻ると

最初の画面で変成器のインピーダンス Z₁ を動かすと、ちょうどよい値で本線の定在波が消え、波がなめらかに流れた。その値が Z₁ = √(Z₀ Z_L) ≈ 70.7Ω、つまり 50Ω と 100Ω の幾何平均である。そのとき入力から見たインピーダンス Z_in = Z₁²/Z_L が 50Ω に合い、反射係数が 0 になる。スライダーは整数の目盛りなので、実際にはいちばん近い目盛りで反射がほぼ消える。整合とはずれた負荷を Z₀ のように見せることであり、λ/4 変成器はそれを線路ひと切れでやってのける。反射が 0 なら、送った電力がそのまま負荷に届く。

インピーダンス整合は、ずれた負荷を特性インピーダンスのように見せて反射を 0 に(Γ = 0, SWR = 1)し、送った電力をそのまま伝えることである。λ/4 変成器は負荷と線路の間にインピーダンス Z₁ = √(Z₀ ZL) の 4 分の 1 波長の線を挟み、入力インピーダンスを Zin = Z₁²/ZL = Z₀ に変える。リアクタンスが混じる複素負荷には、端を開放または短絡した線路のひと切れであるスタブでリアクタンスを打ち消す。スミスチャートでは、整合は負荷の点を中心へ移すことである。
トラックを終えて

座標系の微小要素(EM-01)から出発し、電場と磁場、ガウスの法則とアンペールの法則、ファラデーの法則と変位電流を通ってマクスウェル方程式にたどり着き、その方程式から光が出てくるのを見た。光は境界で反射と屈折に分かれ、伝送線路に閉じ込められて信号になり、スミスチャートの上で一点になり、最後には整合を経て余さず伝わる。一つの点電荷から整合されたアンテナの給電線まで、電磁気学を貫く一本の道を最後まで歩いた。