ガウスの法則
面を大きくしても電束は同じ
点電荷を包むガウス面(球)を大きくしてみよう。面では場が 1/R² で弱まる一方、面積は R² で大きくなる。正味の電束はどうなるか。電荷を面の外へ出すとどうなるか。
ガウスの法則とは
EM-05 で閉じた面の正味の電束 ∮E·dA を定義した。ガウスの法則は、この値が面の中に含む電荷 Q だけに比例すると述べる。∮E·dA = Q_enc/ε₀。真空の誘電率 ε₀ が比例定数だ。面が何であれ、同じ電荷を包めば同じ電束になる。
面の形・大きさによらない
点電荷を包む球を二倍にすると、面での場は四分の一に弱まる一方、面積は四倍になる。両者の積である電束は変わらない。へこんだ面でも立方体でも同じだ。同じ電荷を包みさえすれば、正味の電束は常に Q/ε₀ だ。電束は面を貫く場の線の本数に等しく、その本数は電荷が決める。
外の電荷は数えない
電荷が面の外にあると、その場の線は面の一方から入り、もう一方からそのまま出ていく。入った分だけ出ていくので正味の電束は 0 だ。だからガウスの法則は面の中に閉じ込められた電荷だけを数える。外にどれほど大きな電荷があっても正味の電束には寄与しない。ただし面上の各点の場 E 自体は外の電荷の影響を受ける。
対称なら積分なしで E
対称性が良ければ、ガウスの法則は近道になる。点電荷や球のまわりに同心のガウス球を置けば、場 E は面の上で一定かつ面に垂直なので、積分は E·(4πr²) にまとまる。ここから E = Q/(4πε₀r²) が出る。まさに EM-03 のクーロン場だ。無限直線なら円筒、無限平面なら箱を選ぶ。EM-01 で学んだ対称性に合う面選びが鍵だ。
最初の画面に戻ると
最初の画面では、ガウス面を大きくしても正味の電束は微動だにしなかった。面で場が 1/R² で弱まる分、面積が R² で大きくなり、ちょうど打ち消し合うからだ。電荷を面の外へ出すと電束は 0 に落ちた。入った場の線がすべてまた出ていったということだ。結局、閉じた面の正味の電束を決めるのは、面の大きさや形ではなく、ただその中に閉じ込められた電荷だ。
ガウスの法則は今は面積分(積分形)で書かれている。次のユニットの発散定理(EM-07)が、この面積分を体積積分に変え、一点での微分形 ∇·E = ρ/ε₀ を取り出す。それがマクスウェル方程式の第一だ。積分形は対称問題に、微分形は場の局所構造に使う。